洒落怖
ントモ

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516 本当にあった怖い名無し sage 2011/02/24(木) 17:46:31.57 ID:Aq1qWMQJ0
アブさんはイスラム教徒で、酒も豚肉もやらない奴だったから、
俺たちは「アブさん、あんたイスラム教徒なのに何で精霊が出て来るんだよw」
って突っ込んだが、アブさんいわく、自分はマリのバマナ部族の出身で、
父がヨーロッパ人観光客向けビジネスで成功したが、本来はシャーマンの家系で、
現地の秘密のサークルの正式メンバーでもあるから大丈夫だとか、
そういう余計訳のわからん説明で返されてしまった。
とにかくアブさんが森に入って、俺たちがジェンベを叩きまくってしばらくすると、
森からなんか異様な奴が出てきた。そいつはクシを逆さまにして目鼻を付けたような仮面を被り、
テーブルクロスくらいある小汚い布を頭の上からすっぽり被って体を覆い隠していた。
そいつが体を大きく左右にくねくね揺すりながら俺らの方に近づいて来たので、
俺らは「ントモだー!」「ントモが来た!」「ントモー!」とか叫びながらジェンベを叩き続けた。
ントモは家の前に来ると、相変わらず左右にくねくねしながら、ヘタな日本語で、
「私ントモだよ!ントモ怒てるよ!あなたたち死んだの人!ここいるダメよ!悪いのことよ!」
と、幽霊に怒りをぶちまけた。すると今度は、急にさっき出てきた森のほうを見て、
「行くよ、あなたたち!ントモといしょに死んだの人たくさんの所帰るだよ!ントモといしょに帰るよ!」
と言い出し、森に向かってくねくね歩いて消えていった。

517 本当にあった怖い名無し sage 2011/02/24(木) 17:46:58.52 ID:Aq1qWMQJ0
俺らはジェンベを叩くのを止め、不安になりながらアブさんが戻るのを待っていた。
森の茂みがガサガサし、小汚い布の包みを持ったアブさんがちゃんと出てきて、
「もう大丈夫よ!ここいたの死んだの人たち、ントモといしょに帰ったよ。」
とか言ったので、俺たちはほっとした。
その後みんなでアライさん家の探検をしたが、あんなのを見せられた後のせいか、
なんだか気の抜けたコーラを飲んでるような気分だった。

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