洒落怖
食らう

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それから3ヵ月ほど経って、Sさんからまた電話が来た。
『子供が出来た』
『今度、彼と結婚する』
以前とは打って変わって明るい声で、彼女は僕にそう告げる。
祝いの言葉を述べ、お互いの近況を報告していると、一瞬会話が途切れた。
「そういえば、前に見た夢、あれから見た?」
好奇心を抑えきれず、僕はそう尋ねた。
『……夢って?』
「3ヶ月くらい前に、電話くれたじゃん。怖い夢見たって。その夢の続きとか――」
『私、そんな夢なんて見てないし』
僕の言葉を、無機質なSさんの言葉が遮る。

ピシ、と空気が凍りついた気がした。
なんとか取り繕って、電話を切った。
電話を切って、冷や汗をかいていることに気が付いた。
それ以来、Sさんとは話していない。
先ほど、思いついて電話を掛けてみたが、結局繋がらなかった。

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