洒落怖
選ばれた施設

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383 3/5 sage New! 2010/09/01(水) 11:05:18 ID:xN+Ow1Qj0
この部屋にはもう一つの特徴があった。
それは手術着のようなものを着た人々が、かなりの人数いたことである。
そして人々の傍にはテーブル。その上には大量のボウル。中身を私は見てしまった。
ボウルは大量に並んでいたが、一列あたりの個数は三つと、きっちり分けられていた。
そして時折、板が立てかけられて、「Aクラス」「Cクラス」などと書いてある。
Cクラスの中を私は見た。うち一つには、細切れにしたワカメのようなもの。
その手前には、乾燥した葉っぱのようなもの。
隣にはたっぷりの水で浸した、肉の切れ端のようなものがボウルの中にあった。
その奥のボウルに入っているものは……明らかに、舌だった。
私は悟ってしまった。ボウルには、同じ『食材』を違う風に調理したものが
三つずつ入っている。その隣にはまた、違う『食材』の料理が三つ並んでいる。
これを今から食べさせられるのだと。
文字に起こしてみれば長いが、私はこれらの光景を一瞬で見た。
家族も同様だった。わっ、と二人が崩れるように泣き出し、
その寸前で奴らに腕を掴まれ、立たされた。

抵抗することもできずに寝袋のようなものに入れられ、再び台に寝転ばされて、
目隠しをさせられた。今にして思えば、この目隠しは恐怖を和らげるためのものだったのだろう。
暴れる気は起きなかった。
そうしたところで無駄だというのは、これまでに見た音や光景で分かっていた。
抵抗をすれば暴力で抑えられ、そして結局、無理矢理に食べさせられるのだ。結果は変わらない。
私たち家族の台が引かれていき、どこか奥へ連れて行かれる。
幸運なのは家族三人で並んだことだった。それから説明がされた。
丁寧で冷たい話し方だったが、要約するとこうだった。
「食糧不足に備え、人体を食べるという計画を国家で密かに行っている。
今から、ボウルに入った料理を9つ(縦3×横3で9)食べていただく。
尚、この計画は絶対に機密である。万一洩らした場合には、
あなたも聞いた相手も、その家族たちも専用の施設へ行くことになるので、覚悟せよ」

384 4/5 sage New! 2010/09/01(水) 11:06:43 ID:xN+Ow1Qj0
どうやら説明役と記録役がいるらしく、説明役はグループ全体に説明を行い、
記録役が一人一人に実際に食べる手助けと、その感想の記録をするらしかった。
説明役はいかにもお役人という雰囲気だったが、記録係は違った。
実際に調理を行った人たちらしく『給食のおばちゃん』的なムードだ。
「見えないから大変だろうけど、私たちが手伝うからねえ~。
食べやすいから安心してっ!さ、始めましょ。一般の人はCランクが限界かな…。うん、Cにしよ」。
冷静に思えばあんな場面でフレンドリーというのは逆に恐ろしいのかもしれないが、
恐怖していた私には唯一の味方にすら思えるほどだった。

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