洒落怖
埋められた鳩

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続く

669 自治スレでローカルルール他を議論中 sage 2010/10/18(月) 20:38:54 ID:ri7Mty6fO

「埋められた鳩」4

T「おっ、ラッキー。5000上下?直でもいいぞ」
Tがそれをつまみ上げ、そういった。
つまりは5000円より多いか少ないか、当てろということだった。
直っていうのはぴったり当てること。
K「下だな」
A「下」
俺「直で、入ってない」
T「おい、俺強制で上じゃねーかよ。
まあいいか……おっ、金は無いな。お前の勝ちだ」
そういって、Tは俺に財布を投げてきた。
中を見ると確かに金は無く、随分と古ぼけた写真が一枚入っていた。
おそらく家族の写真だろう、どこかの公園に美人とは言い難いが優しそうな女性と、幼い少女が映っていた。
俺「いるかよこんなもん」
俺は財布をロッカーの中に投げ捨て、突き刺したままのマイナスドライバーをベルトに挟み込むと、4人で次の場所を目指した。
階段を上がって廊下を歩いていくと、工場のほうに行ける渡り廊下があった。
K「そういや、なんでここ潰れたか知ってるか?」
T「知らねー」
A「知ってるのか?」
K「なんかここ、金属加工の工場らしいんだけど、プレス機に事故で何人か挟まれて死んだとかなんとか」
俺「うわ、それは嫌だな。
どうするんだよ、まだそのプレス機残ってたら」
T「写真でも撮るか?
その死んだ奴の霊が写るかも知れねーぜ」
そんな感じのノリで工場に入って、幾つかの機械を見てまわった。

670 自治スレでローカルルール他を議論中 sage 2010/10/18(月) 20:40:59 ID:ri7Mty6fO

「埋められた鳩」6

手回しのウィンチとかあって、TとKがそれをクルクル回して遊んでいた。
そのとき、
A「……待て。
ここって、廃棄されてから5年は経っているよな」
K「ん?ああ、たしかそのくらいだ」
俺「それが、どうかしたのか?」
A「だったらどうして、油をさしていないはずのウィンチがそんなにまわる?」
僅かな沈黙。
そして突然、近くにあった重機の一つが倒れた。
それと同時に物凄い瘴気と悪寒を感じ、慌ててまわりを見回した。
すると工場の奥から黒い影みたいな、明らかに人外のなにかがたくさんにじり寄って来た。
T「……ちょ」
K「な……なんだ」
A「驚いている場合か!走れ、逃げろ!」
Aがそう怒鳴り、俺たちは近くにあった工場の窓を開けて急いで外に出た。
全速力で走って逃げたんだけど、なにかとの距離は離れず、逆に少しずつ近づいてきたんだ。
それでもやっとのことで車まで辿り着いたら、
A「鍵落とした!」
俺「そこをどけぇっ!」
俺はベルトに挟んでいたマイナスドライバーを鍵穴に叩き込み人生初にしてたぶん世界最速の自動車破りを達成した。
全員で飛び乗って鍵を閉めて外を見ると、誰もいなかった。
ほっと一息ついた瞬間、両側のドアになにかがぶつかった。
そのままメキメキって音を立てた。
明らかにプレス機にかけられていた。

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