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じゃあなんでその頃のAさんは本家の人達をよく思っていなかったのか?
分家と言うだけで、根拠の無い劣等感があり、若さゆえに反発せずにはいられなかったことも
あるが、Aさん達分家の人達とその本家の人達の間にある差が原因にあったという。
Aさん達分家も本家も、長い歴史を持つ神職の一族(本家に至っては、記録にある部分だけでも
1300年以上続いてる家系。某国風土記の平安期写本にも本家に関連する記載があるらしい)
で、余所から嫁または婿に来た人以外は全員、昔からの巫覡の体質を受け継いでおり、
成り行きこの世のものならざるものが視えるそうだ。
そこで分家と本家の差の話が出てくるんだが、本家の人達は本家が祀る神社の神様からの加護を
受けており、当主と次期当主に至っては、特に強力に護られているらしく、身の回りに霊とか
その他のよくないモノが全く近づけないため、まったく目にしなくなる程だそうだ。
それ故、子供の頃からそういうもの時々に目にしており、苦労して対処を身につけたAさんから
すれば、生まれた家が本家と言うだけで無条件に守られていることに納得がいかなかったらしい。
本家の本家たる所以は、本家が祀る神様との関係にある。本家はある神社(X神社とする)を
管理しており、分家も神社(Y神社とする)を管理する立場にあるが、X神社とY神社とは
別にもう一つ神社(Z神社とする)が存在する。
Z神社は過去に一度失われ大正期に再建されたという歴史があり、そのZ神社こそが
本家が代々祀ってきた神社で、その祭祀を取り仕切る事こそが本家の役割。
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15 本当にあった怖い名無し sage 2010/03/25(木) 00:06:26 ID:DPDXOqQS0
そんな時、本家の当主と次代当主だけで代々行ってきた当主継承に関わる祭祀を10歳になる長女が
失敗するという事件が起こった。(本家は血統を存続させることに重きを置いているので、昔から
男女の区別なく長子が家を継いでおり、女性神職が許されなかった時代は、婿を取ってX神社の
建前上の神職として据え、本家が代々祀るZ神社の祭祀は女性当主が行っていたらしい。)
長い本家の歴史上、次代当主候補が神様にそっぽを向かれたことはほとんど起こったことはなく、
急遽、本家と分家の神職を一同に集めて追加で祭祀が行われることになったそうだ。
その時Aさんはチャンスだと思った。
長女が失敗すれば、次は長男の順となるが、次代当主確定の祭祀は、当主の子息が10歳に
なった時に行われるので、長男が10歳となる来年までは次期当主候補は不在となる。
この隙に、自分を神様に認めさせることがが出来るのではないかと厨二病全開なことを考えた。
Z神社で祭祀を行う際に読み上げられる祝詞には、本家と分家に伝わるZ神社の主祭神のみに
奉上するための独自の定型化された長い祝詞がある。
祝詞の内容自体は分家の人間も知らされてはいるが、本家の当主と次期当主以外は、当主が
許可した時以外はその祝詞を読み上げることは禁じられている。
ここに本家が特別に神様に守られている秘密があるのではないかと考えたAさんは、
それを追加の祭祀の際に、読み上げて神様の気を惹こうと考えた。
しかし、当時のAさんは冷静さを失っており、「祝詞自体は知っておく必要があるが、当主と
の許可なしに読み上げてはならない」という習わしの意味することを良く考えていなかった。
そして追加祭祀の当日、一般的な祝詞の奉上が終わり、例の祝詞を当主が読み上げ始めたのに
あわせて、こっそりと小さな声で祝詞を読み上げ始めた。
