洒落怖
信仰心

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友人から聞いた友人の幼馴染の話。長文不可はスルー推奨

その幼馴染は敬虔なローマンカトリックの家庭に生まれたクォーターだった。
イタリア人である祖母の血を受け継いでおり、東洋人と西洋人の混血が良い方に作用した見本の
ように彼女もまた容姿に秀でたものを持っていた。
小学生までの彼女はその身に流れるイタリア人の血によるものか社交的で明るく友人も多かった。
しかし、不幸なことに私立ミッション系の中学校に上がってまもなく彼女は厨二病を発病する。
そのきっかけとなったのは、彼女に月の物が始まった日に母親から受け継いだある書物だった。
それは祖母の家系に伝わる美しい革装丁のラテン語の書物で
彼女の家系が脈々と主への信仰心を示し続けてきた証であるものだと彼女は教わった。
そして、あわせてそこに書かれている序文の内容(カトリック教徒としての心得のようなもの)と
書物の適切な管理方法(古書のため杜撰に扱うと痛んでしまう)を教わった。
それを渡された当初、彼女は小学生であり全く読めないラテン語の書物であったことから
大して興味も持たず、大切に仕舞い込んでいただけだった。

中学生になった彼女が、暇つぶしにそれを眺めていた時
その書物にはラテン語の文章だけではなく数々のよくわからないシンボルが記載されていることに気付いた。
ひょっとしてこれはただの信徒の心得ではなく魔導書の類ではないのか?
そこから彼女は独学でラテン語を学ぶようになりその書物に傾倒していく。
彼女曰く
「比較的簡単に解読できる部分を読んだ限りだと、この書物は持ち主の信仰を試すためのもので、
これに書かれてる手法であるものを召喚出来た時、主への真実の信仰心を示すことができるんだって。」
それを聞いて友人がからかい半分で、
「それって悪魔の召喚方法だったりするんじゃないの?」と言ったところ
「読めた所だけの話だけど、召喚にはやもりの目玉だとか蝙蝠の心臓みたいないかにもなものは
 要らなくて、書物に書かれてるシンボルと呪文だけでいいみたいだし、
 主への真実の信仰心を示すって記述から、天使の召喚に関わるものなんじゃないかと思う。」
 と彼女は言った。

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463 本当にあった怖い名無し sage 2010/03/31(水) 21:03:47 ID:u8rcBOA6P
それからの彼女は、友人作りもそこそこにその書物を独学で紐解いていった。
時は流れて、友人と彼女は大学生になったが、彼女は完全に厨二病を抉らせていた。
しかし時の流れは彼女のそういった内面とは相反して、彼女の容姿に磨きをかけていた。
傾倒していたその書物以外に関しては至ってまともに意思の疎通が出来たため
彼女に言い寄る男は多かったが、彼女は今時珍しい純潔主義だったため悉くその誘いを
撥ね付けていた。
大学で言い寄ってくる男は、受験というプレッシャーからようやく解放され、
溜め込んだ性欲を開放したくて堪らない脳と下半身が直結した生き物で、
信仰の妨げにしかならないものであると、彼女の目には映っていたようだ。
そのような彼女の姿勢は、しばしば容姿にコンプレックスを持つ同性からの反感を買っており、
彼女の耳に入るような距離でワザと嫌味を言うようなものも少なくなかった。

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