洒落怖
再現

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津波の音だった

736 本当にあった怖い名無し sage 2012/01/10(火) 02:15:59.46 ID:8pjtxs5P0
音の途中で悲鳴やうめき声が聞こえる。波に飲まれかき消されていく
私はスピーカーを引きちぎり岩に叩きつけた。そうだ そうなのだ ここだって大勢の人が死んでいる。なのになぜ私はこんな道を通っている?自分が数ヶ月してきた行動を不可解に感じ始めた。
私はその場を離れて山側の国道に戻ろうもと来た道を戻り始めた。スピーカーがなくても声は聞こえる。なんと言ってるのかわからないが聞こえる。だんだん言葉が分かってきた。
「タスケテ」
「死にたくない」
「いやだ!いやだ!」
誰だってそうだ みんな自分があんな理不尽な死に方をするなんて思っていなかった。自分だって少し違えば死んでいたのだ。だからだからこそ
「自分には何も出来ないんです!できないんです!!!」
大泣きをしながら私は叫んだ。どんなに可哀想に思っても自分には何も 何も 

私は気がつくと通りかかったタクシー運転主に起こされた。津波で道路にできた穴に自転車ごと落ちていたそうだ。
足だけが道路に出て運転手がたまたま見つけたとのこと、自転車はフレームが曲がりグニャグニャになっていた。どうやったらこんな風に・・・いや、この曲がり方は見たことがあった。

「怪我はない?」
「はい・・・」
「送っていくよ」
「あ、でも今2000円しかなくて・・」
「代金はいらないからK寺に行こう」
「え?」

そこからまた記憶は飛ぶ、怪我はないとはいえ身体を強くうっていたためかうまく動かず意識が朦朧としていた。

737 本当にあった怖い名無し sage 2012/01/10(火) 02:18:20.26 ID:8pjtxs5P0
その後、お寺で目を覚ました私は清められお祓いをしてもらった。住職はお寺に私が来たときから何かしらの霊障にあったことに気づいていたそうだ。
お寺で一泊し、次の日に母や姉が泣きながら迎えにきてくれた。
お寺の住職がどう連絡したかはわからないが、母と姉の様子は普通ではなかった。私は住職に頭を下げ帰ろうとした。
「あ、まって」
住職が呼び止めた。
「それはもうダメだからこれをもっていきなさい」
祖母の御守りを渡すように言われ、中身を開けた。木の板がはいっていたがなぜか燃えた跡があり、割れていた。
「はい・・・」
私は理解した。
「すいません、昨日私を送り届けたタクシーの運転手さんに連絡できますか?」
「?」
住職は不思議そうな顔をした。
「昨日君はお寺の近くで倒れていたんだよ?色んなものを背負ってね。だから私はそれを祓ったんだ。」
私はお寺をあとにした。

私の家の近くには未だに瓦礫がある。車は当時のまま積み上げられている。
そこに私が乗ったタクシーがある。同じ業者のではなくナンバーも同じのタクシーが

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