洒落怖
丘の上の学校

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「うおっなんだあれ…」
「初めてみた…」

同行者達は情けないヒッという悲鳴を上げてから各々一人ごちりました。
一方私は平静を保つことで精一杯だったので、霊を傍観することしかできませんでした。
その間1分くらいに感じましたが、実際数秒だったと思います。
みな呆気にとられていると突然
ぐるんっ
と女性の霊はこちらへ綺麗な回れ左を見せました。

気付かれたのです。
「あぁ…やっぱり…」
正体不明だった低いうめき声のような音の正体も、知ることになりました。
「おおおお」ではなく「ああああ」となにか嬉しそうなうめき声。
女性の霊は惚けたような口からうめき声を出し、こちらへ歩いてきました。
しかも今まで思っていた幽霊の動きよりも全然速かったです。
イメージとしては大きな病院の看護婦なみの速度。
カツカツという気持ちのいい硬質な音が聴こえそうな速度でした。

「ヤバい!!」
と同行者達は足早に逃げ出しました。

「えぇっ!?薄情な奴ら!」
それどころじゃないことは理解していましたが、流石に驚きました。

25 本当にあった怖い名無し New! 2011/12/29(木) 03:42:55.95 ID:M05VVOzs0
今考えれば同行者達は私の具合など気付いていなかったのでしょう。

私は体と精神が分離しそうな状態で、倒れ込むように窓から脱出しました。
そして、後ろを何度も振り返りながら走って逃げました。
何度も確認する余裕があったのは、校舎を抜けると体がある程度楽になった為と、
霊が私達が出た窓の所にずっと立っていたからです。
息も絶え絶えで車まで戻り、私の車の周りには同行者が早く開けて!の熱烈なコール。
答えない訳がありません。
キーを差し込みエンジンをかけてとにかく走らせました。車内は安堵とする者や、
興奮まだ冷めぬ者もおり、恐怖の余韻とはこういうものなのかと感じつつ、私は前者に含まれていました。

27 本当にあった怖い名無し New! 2011/12/29(木) 03:50:59.58 ID:M05VVOzs0
その日はそのまま解散しました。

後日その町の図書館へ赴き、郷土本を調べることに。

憶測通りと言いますか、あの丘の上の高等学校は戦時中病院であったらしく、
爆撃を受けて潰れたかどうかは書いていませんでしたが、戦後取り壊されていたようです。
その上に高等学校を建てたと。日本ではまぁ、よくある話でした。
お目汚しでございましたが、とりあえずこれで終わらせて頂きます。

その後もちろん取り憑かれたわけですが、
長くなりますのでもしも見ている方がいましたら…

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