洒落怖
解体

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719 1 sage 2012/04/07(土) 21:55:36.95 ID:6JC8dLJ00
自分が神戸のほうの土建屋で解体を主な業務にしていた時のことだけど、
仕事にからんで不思議なことや気味の悪い出来事は年に一回くらいはあった。
今でいう孤独死で、遺体が長期間放置されていた家屋を全面解体や部分解体する場合なんかは
いろいろと大変だけれども、おかしなことはほとんど起きていない。
やはりヤバイのは、古墳と思われる墳丘をつぶして地ならしする場合なんかで、
重機担当のやつらは相当嫌がっていたが、これは先輩方から代々話を聞かされてきているせいもある。
まあそのあたりは会社でもわかっていて、拝み屋を手配したりして対策は立てていたんだけど、
そういう予測のつかないケースもあった。

730 2 sage 2012/04/07(土) 22:05:44.14 ID:6JC8dLJ00

ある時、山のほうの下が貸し店舗で二階が二部屋程度の一軒家の解体の仕事を回されて、
夕方話を聞きに行ったときの。自分と後藤という若いやつと二人で依頼主と話をして、
その後鍵を借りて、二手に分かれて内部をざっと見て回っていたんだが、
店舗はまだ改装していくらもたってないような様子で、すぐに解体する理由がわからない。
依頼主が金に困っているのかもしれないが、何となく気に入らないと思った。
そのとき「おーい、ちょっと来てください」という後藤の声がして、
行ってみると台所で、床のところで1m四方ほどの板の片側を持ち上げている。

721 3 sage 2012/04/07(土) 21:58:01.01 ID:6JC8dLJ00
「あれこれ、冷蔵庫か何かの下だったんだろ。よくわかったな。野菜なんかの貯蔵庫か?」
「いや、自分もそう思ったんですが、その隅のところを見てください。」
その穴はコンクリート作りの1m四方くらいだが深さも1m以上あって、貯蔵庫にしては下まで
手が届かない。その一隅が10cmくらい三角に崩れていて、ぽっかりと暗い穴になっている。
「えーなんだ、まさか地下があるとかじゃないだろうな。」
「どうでしょう。土台ぎりぎりくらいの深さじゃないかな。防空壕とか?ちょっと降りてみますね。」
「気をつけろよ。」と言うまもなく、後藤が両足を穴の底につけた瞬間、
床に置いていた手が泳ぐように宙をかいて姿が消えた。

723 4 sage 2012/04/07(土) 21:59:20.44 ID:6JC8dLJ00
底が完全に抜けて下に落ちたようだ。ドザッと音がしたので、コンクリの破片もかぶったにちがいない。
暗くて見えない穴の底に向かって「おーい、大丈夫か。」と叫ぶと、ややしばらくして
「・・・大丈夫です。ちょっとケツを打ちましたが・・・ここそんなに深くないです。
・・・あれ、大丈夫じゃないか、頭から血が出てるかも。ぬるっとする。」と声が聞こえる。
「ちょっと待ってろ、応援を呼んでくるから。」
「・・・カッコ悪いからいいですよ。車にロープあったでしょう、あれでひっぱってくれれば
登れますよ。すんません、車からロープとそれから懐中電灯持ってきてください。どうせなら
少し調べてみます。」
「いいのか?血が出てるんだろ。」「いや流れてこないのでたいしたことないです。
・・・ここ高さは1m半ないですね、まっすぐ立てない。」「ちょっと待ってろ。」

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