洒落怖
思い思いのお化け

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うちの父方の祖父母の家はかなり古い家で、改築に増築を重ねて今は使われていない座敷や部屋がある。
古くなっていて危ないから近づいちゃいけないと祖母によく言われていた。

小学校四年生のお盆の時の話。
うちが本家だという事でお盆や正月は親戚一同が祖父母の家に集まる。
私は親戚の子供達の中で一番年上だったし私以外は妹も含めてまだ小学校低学年や幼稚園児だったから、その時も私は集まった子供達の世話係みたいな事をしてた。

お坊さんが帰ると、襖を取り払って広くした部屋で大人も子供も一緒にご飯を食べる。
そのあと大人達は宴会を始め、子供は別の部屋で遊ぶのが常だった。
夜八時を過ぎた頃、従兄弟の男の子が懐中電灯を見つけてきた。

最初は部屋を暗くして懐中電灯で周りを照らしたりして何が楽しいのかよくわからないけど楽しんでいた。
その内探険に行こうって話になって、なら離れに行こうとなった。
普段近づいちゃいけないと言われていたけど、その時はちょっとハイテンションで親戚の子供達にいいとこを見せ付けたいのもあって行くことにした。

45 本当にあった怖い名無し sage 2009/12/13(日) 01:04:24 ID:C25Bw8q8O
一応大人に言っておこうと思ったけど流石に祖母には言えないので、すっかり出来上がっている父親に離れに探険しに行ってくる、と伝えると気を付けろよ~みたいな感じであっさり了解を得た。

私が先頭に懐中電灯を持って、その後から妹や従兄弟たちが固まって付いてくる。
洋間の脇の廊下を抜け仏間を通り過ぎて途中途中の電灯を全部点けながら進むと件の離れへのガラス戸が見えてくる。
向こう側は真っ暗で懐中電灯の明かりがガラス戸に反射している。

ガラス戸を開けると古い畳の匂いや湿った木の匂いだと思うけど、なんだか純和風~という感じの匂いがする。
懐中電灯と廊下の光で板張りの廊下と座敷があり、廊下の先に木戸があるのがわかった。
その木戸の先は何があるかはわからない。
行ってみようって言ったんだけど親戚の子供達は恐がって行きたくないと言う。
私も恐かったんだけど年長者の見栄というか、年上なんだしという気持ちがあって「じゃ、開けてくるからそこで待ってて」なんて言って従兄弟に懐中電灯で進行方向を照らすように指示して一人で木戸まで歩いていった。

46 本当にあった怖い名無し sage 2009/12/13(日) 01:05:15 ID:C25Bw8q8O
板張りの廊下はあまり使われていないのか埃っぽくミシミシと音を上げた。
壁に手を当てゆっくりと木戸に向かって歩いていく。
恐いな~、イヤ恐くない!なんて念じながら木戸の前に立って振り向くと廊下の先で親戚の子達が固まってこっちを見ている。
「ほらぁ、平気だよ!」と声を掛けながら木戸を引くが開かない。

「あれ?あ、これ押す方だった~」とか陽気な声を出しながら木戸を押すと予想以上に大きな音を立てて木戸が開き、私は前につんのめって木戸を掴んだままこけたような姿勢になった。
同時に猫の鳴き声がして、私の恐怖がピークに達した。
声にならない悲鳴を上げながら四つんばいで親戚の子達がいる場所まで逃げようとすると、親戚の子達は無情にも逃げ出した。
廊下の先に見える光を目指して四つんばいから立ち上がりつつ駆け出す私の後ろで、木戸がまた大きな音を立てて閉まった。

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