洒落怖
ローラー車

この怖い話は約 2 分で読めます。

514 : 506 : 2012/06/07(木) 10:15:36.34 ID:6R/OCGUJ0
俺は,仕事場へ戻り,お母さんからの聴取内容を報告書にまとめていた。
この結果が,保険金額に直接影響することはないと思うが,
お母さんの気持ちを代弁するつもりで書いた。
願わくば,保険金の担当者が少しでも汲み取ってくれるように。

そこへ,上司がやってきて,会社から提出された正式な報告書
(事故直後の実況見分のようなもの)を渡された。
俺は,それをぺらぺらとめくりながら,事故現場の写真で,目をとめた。

515 : 506 : 2012/06/07(木) 10:17:04.96 ID:6R/OCGUJ0
それは,被害者の手元を写した写真だったが,
おそらく被害者の血がついたのであろうコンクリートブロックのようなものに,
薄汚れた茶色い手形がはっきりと残っていた。
色といい,形といい,今日,車についていた手形と全く同じに見える。
俺は,冷や汗が流れるのを感じたが,同時に,偶然だと思いこむことにした。
そもそも,手形なんて,ぱっと見た目違いは分からない。
ましてや写真だ。
たまたま,同じような色合いに見えるものだから,
特異な体験と結びつけたくなるだけだろう。
俺は,自分に言い聞かせるようにした。
しかし。

516 : 506 : 2012/06/07(木) 10:18:26.78 ID:6R/OCGUJ0
次の写真には,被害者の事故直後の様子が写っていた。
俺は,本当に心臓が止まりそうになった。
ローラーにつぶされた顔・・・
ベロリとめくれた唇,顔全体がいびつな歪み方をし,
右目はギロリと見開かれ,左目はズルリと瞼が落ち,
左から右へグリッと突き出したような顎の形状。
そこには,まさに昼間出会った女性が写っていた。
偶然かも知れない。
これを書いてる俺の記憶は,写真に影響されていて,
昼間に出会った女性を写真に近づけすぎているのかも知れない。
俺は,しばらく呼吸が出来なくなり,その後意識を失ったみたいだ。

この怖い話にコメントする

ローラー車