後味の悪い話
藤田あつ子

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476 : 2/2 : 2012/05/19(土) 12:04:24.81 ID:ClTLP/YKP
翌々日、如星は絞殺された女の報告を受け、現場に向かう。
するとそこには何故か第一発見者として祥がいた。
死んだ女はあの日はぐれていた妻であり、状況証拠は犯人が夫であると示していた。
死ぬ直前に夫に会った形跡があり、夫には邪魔になった妻を殺す動機もある。
如星が夫に追求すると、夫は
「確かに一行に追いついた妻に会い、三行半を突きつけた。
しかし、殺してなどいない!私は無実だ!」
と泣いてすがった。当時の殺人は死刑である。
厳しい言葉で夫の非情を叱責し一蹴した如星だが、実は真実を理解した上で夫を逮捕した。

如星は祥を呼び出す。
「お前の気持ちも分かるが、このままだとあの男は死刑になるだろう。
罪も無い人間に罰を与えることはどんな人間だとしてもやってはいけない。」
真相は、第一発見者である祥が偽装工作して自殺を他殺に見せかけたのだった。
祥は黙って妻の遺書を如星に渡す。
遺書にはこう書かれていた。
「私ははじめ、夫が冗談を言っているのだと思いました。
けれど、夫が本気で言っているのがわかると、
私には夫が別人に見えたのです。
何年も連れ添い、愛し合ってきた男が、
まるで初めて見る、言葉の通じない、
知らない男に見えたのです。。。」
祥は言う。
「あいつ、廃屋で以前おんなじように女を捨てた話をしてた。
俺にはその女の幽霊がとりすがって、泣いてるのが見えた。
でもあいつには全然見えていなかった。
自分のせいで死んだ女が見えていなかったんだ。
俺は幽霊が怖かったんじゃない、あの男が、
人の心がない、あいつが怖かったんだ。。」

477 : 本当にあった怖い名無し : 2012/05/19(土) 12:06:08.57 ID:ClTLP/YKP
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最初にも書きましたが、藤田あつ子はこういう、なんとも哀しい後味の話が多くて好きです。
ホモくさい&耽美な所もありますが、推理ものってより人間ドラマの要素が強くて泣けます。

そして今気がついたがレス重複すまん。

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