後味の悪い話
死首の咲顔(えがお)

この怖い話は約 3 分で読めます。

裁きの結果、「妹の斬首は母親も許可していたことなので、兄を罪に問わない」
「主人公の父親こそ、何も罪無きようで罪多し。家財没収のうえ放逐」
「ただし、妹の殺害は無罪なれど、世間を騒乱させた咎で、兄・母・主人公も追放」
ということになった。
父親は、「お前など勘当だ! 私一人で他所で商売を再興する!」と捨て台詞を残して去り、
その後の行方は誰も知らない。主人公は剃髪して山寺へ入った。
主人公の母親も、実家へ戻った後、余生は尼として過ごした。
娘の兄と母は、他村へ移り、今までどおり貧しいながら耕作して穏やかに暮らした。

75 : 本当にあった怖い名無し : 2009/08/19(水) 00:45:36 ID:UVFAR2i10

…なんていうか、親孝行のためといって駆け落ちを思いとどまり
にっちもさっちも行かなくなってから四人で示し合わせて父親に意趣返しをするくらいなら、
さっさと駆け落ちして遠く離れてでも夫婦で幸せに暮らしておく方が
よっぽど孝行なんじゃないかと思った…。

この話には源太騒動という元ネタの事件があるらしいが、
それはどっちかというと娘の兄の側が話題の中心で、
両家の不釣合いを理由に縁談を破棄された後、覚悟の上の兄妹が婚礼装束で屋敷を訪れて
庭先で兄が妹の首を落とし、農民の身分といえど元は由緒ある武士の血筋の剛健さ、
「恥と不名誉」を重んじる気風、潔さなど見せたのが人々の評判として流布していった感じだそうな。
兄は直ちに代官所に自首したが、密通・身持放埓の子女への家長権の正当な行使という名目で
放免だったのだそうで。
はっきり言って、孝行との板ばさみとか駆け落ちうんぬんとか、ヘタに主人公の視点を入れて
兄の行動を不可解になふうにするよりは、原話のほうがよっぽどスッキリしていると思った。

76 : 本当にあった怖い名無し : 2009/08/19(水) 00:56:51 ID:FoRRVpIhO
まあ、「駆け落ち」というものをどう捉えるかによるな。
今と当時は違うわな。

77 : 本当にあった怖い名無し : 2009/08/19(水) 01:33:05 ID:UVFAR2i10
>>76
いや、そうなんだけど、原話では
本家の息子はそのまま父親に言い込められてるヘタレで(事件当時 留守だった
とする説もある。いずれにしても当事者にしては影が薄くて蚊帳の外的)、
発憤した兄妹が意地を見せた感じできれいに完結してるが、
春雨物語みたいに「最後は駆け落ちもいとわず」みたいな思い切りのいい主人公なら、
じゃあそうしろよって感じがして。

首を落とす直前の場面でも、駆け落ちのそぶりを見せたかと思うと
そこで斬首した兄の行為に同調したり、なんか行動が一定しなくて、
最初から首を落とす覚悟の上で婚礼衣裳を着込んで出向き、堂々と実行した原話に比べて
なんか登場人物の行動原理が終始一貫してない印象を受ける。

この怖い話にコメントする

死首の咲顔(えがお)
関連ワード