山の怖い話
山賊

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もう駄目だ、俺は止める。

そう決心したものの、道がわからず、わかってもさっきの男のところには戻りたくはない。
どうする?
町道側は崖になっており、道までは降りることは難しい、つまり戻るしかない?
するとその崖下から「そこに誰かいるのか!」と誰何された。
ビビって「はっはい、測量のものです。話は付けてあるのですが…」としどろもどろに言うと、
「いいから降りてこい、梯子かけてやるから」と言われ、頂から崖に沿って横に降りて行って、
完全に崖になる所に竹梯子を掛けてもらってそれを降りた。

下では恰幅の良い住職が待っていた。とりあえず寺に来いというので、そのまま連れて行かれた。

867 本当にあった怖い名無し sage 2009/03/15(日) 16:43:43 ID:EoyPvcIo0
ここからは住職に聞いた話だ。
あの山一帯は、江戸末期の旧道に面していて、盗人や山賊が住み着いていたそうだ。
当初は旅人のみを襲っていたので、村人からは黙認されていたが、
女癖の悪い奴が村の女を襲い始めたので、村の男らが酒を持ち込み、
山賊を酔わせたところで、犬をけしかけ一味10名近くをなぶり殺しにしたそうだ。
殺したのが見張り場所に最適なさっきの頂きの所で、そこに供養塔を建てたが、
それから山の中で怪現象が続き、山の傍の住民は犬が何かを払うようなので犬を飼いつづけ、
山は事情の知っている地主(今の地主の先祖)に所有してもらい、なるべく立ち寄らんようにしていたそうだ。

明治になって尋常小学校が山向こうにでき(今でも普通の小学校と中学校がある)、
世代が変ったことで、怪異現象への恐れが薄れ、通学路を山の中に切り開いたところ(これが山道)、
山中で何者かに襲われる子供が出たために、山道の登り口に祠を建て、山を封じた。 という話だった。
住職いわく、怪異に襲われて助かったやつは、なにがしかの刃物を持っていたといわれ、
剣鉈を見てみると、山では使っていないのに、斧でも受けたかのように刃が大きく欠けていた。
鉄塔建設の件は、住職から先代の地主に話を通すと言われ、山にはもう入るなと釘を刺された。
(事実、後日地主からの連絡で建設予定地はダメになり、別の山を選定した)

当日、別れる前にどうして俺がいることがわかったんですかと聞くと、
読経していたところに犬が現れ、山の方へ吠えるので、前の住職から聞いていた話を思い出して
山に異変があったと思い、いったとのことだった。

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