この怖い話は約 3 分で読めます。
最悪なのは俺とソイツがスロ仲間だったこと。
連絡先も家も知ってたんだよ。
写真見せてもらった時、ヤバイって思ったね。
マジで悪魔と天使が頭の中でケンカしたよ。
俺が一言言えばこの話はそれで終わりだ住所と電話番号いま言えばすぐ終わる多分ボーナス出るぞ、って悪魔が言うんだよ。
いやまてそれでもお前は男か短い付き合いでも仲間は仲間だろ台譲ってもらったりメシおごってもらったりしただろ、って天使が反論。
グダグダ頭の中で考えてる内にもう受注してたよ。
後悔ってよりも、しーらねとかそれぐらいにしか考えてなかった。
でもまあ仲間ってのは嘘じゃないって後で証明されたんだよ。
俺が仲間だと思ってるってことは向こうもそう思ってたってことだ、残念ながらな
次の次の日くらいかな。
夜中にそいつが俺んち来たんだわ。
ピンポンピンポンほんとうるさくて、苛立ちながらドア開けたら、そこにゴリラみたいないかついアイツがいやがった。
ああ、もうこの際こいつゴリラな。
で、ゴリラが事情を説明するんだけど、もうこっちは帰って欲しい気持ちで一杯。
大体俺、ゴリラ語わかんねーし。
まあ冗談は置いといて、事情勝手に話すんだよ。
ウチに上がりこんで。
すっげーありきたりな理由。
借金だって。
病弱な妹がいるとか、潰れそうな施設に寄付するために必要ってんなら俺も同情したよ。
だけど、そいつは女がらみだった。
身の程知らずにも高級クラブのおねえちゃんに金貢ぎ続けて、借金しまくったんだとさ。
今更、その女に騙されたとかウホウホ言っても意味ないし。
それより早く出て行って欲しいって気持ちがデカかった。
俺がマークされてるとは思えないが、万が一ってことがある。
溺れるものは藁をも掴むって格言、誰が考えたんだろうな。
ゴリラは俺を渾身の力でガッシリ掴みやがった。
もしここから追い出してオレが捕まったら共犯者としてお前の名前出す、って脅し始めた。
マジどうすりゃいいんだよ。
今になって思い出すと、さっさと筋モンに引き渡せば良かったと思うし、それが出来ないなら誰かに、例えば上司とかに相談すれば良かったって思う。
でも俺はそいつをかくまっちまったんだ。
おかげで足の小指を無くしちまうんだが、それは後で話す。
それから数日間は精神的にきつかった。
昼は仕事でゴリラの顔を刷る。
筋モンが新しい情報をいれろってんで、次々に新しいビラを作るんだよ。
疲れてアパートに帰ったらゴリラがいる。
もう俺の生活ゴリラだらけ。
ここはどこの動物園だっての。
最初の内は畜生でも罪悪感があったのかゴリラは大人しかった。
だけど部屋にこもるのが飽きたのか、色々注文つけるようになった。
やれコーラが飲みたいとか、雑誌買って来いとか、ラーメン食いたいとか。
早く出てって欲しかった。
まあ流れ的に分かると思うけど、ゴリラは背中に絵が描いてある怖い飼育員たちに捕獲されたんだわ。