何でも怖い
トンネル

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彼女だった。上半身は裸で靴下とズボンだけ履いた格好で、トンネルの出口を塞ぐ板になにかを夢中で擦り付けている。
俺はその板をライトで照らしてみた。
口紅だった。赤い口紅。それをクレヨンみたいに使って、なにかグチャグチャな絵?というよりもそれ自体を塗り潰すようにめちゃくちゃに塗っている。
口紅は残りが殆ど無くなっているのに夢中で同じ動きを繰り返す。
俺はそれをやめさせようと、無理矢理その板から彼女を引き離した。
彼女は意外とすんなりとその行為をやめておとなしくなった。
「帰るぞ」と言うと俺が言うと、うん、と言って頷く。

彼女の手を引きながら、急いで元の場所を目指す。
行きよりもはるかに帰りの方がはやく感じた。トンネルを出る頃には、彼女は元に戻っていて、シャツを着せてあげると、ごめんね、ごめんね、と何度も俺に謝った。
鉄門の場所まで辿り着くと友達がいない。
車もない。彼女が泣き出して、どこに行ったの?!と訊いてきた。俺はとりあえず落ち着かせようと思い、山のふもとのコンビニかもしれない、具合が悪いって言ってたから休んでるように言ったんだよ。言った
それから車で来た道を徒歩で降りた。コンビニには友達はいなかった。
俺達の異様な雰囲気に気付いたのかコンビニの店員が外にでてきて、駐車場に座っている俺達に「警察呼びましょうか!?」と慌てて話しかけてきた。

322 : 本当にあった怖い名無し : 2012/05/05(土) 17:20:19.88 ID:U7aznJr40

304 名前は誰も知らない 2012/04/29(日) 22:46:25.95 ID:ENPrd3310

俺が大丈夫です、と言うと、店員はあなたには訊いていません!と言ってもう一度、今度は彼女の目の前まできて訊いたが、
彼女も「大丈夫です、タクシーを呼んでもらってもいいですか?」と言った
タクシーが到着すると、俺達は同乗して、先に彼女を家に送った。俺と友達は一人暮らしだか彼女は実家に住んでいるので、
その家の前でタクシーを止めて、別れた。
車内ではお互いにほぼ無言だった。

翌日、電話に出ない友達が心配になり家に行ってみた。鍵がかかっていて、駐車場に車はなく帰ってきた形跡はない。
彼女の携帯は電源すら入っていなくて、実家まで訪ねてみたところ、あの日から帰っていないそうだ。
タクシーを降りたあとどこに行ったのだろう。思い当たる場所はあのトンネルしかないが、もう俺はあの場所へ行く気はない。
これで話は終わりです、長い時間付き合ってくれた皆様ありがとうございました。現在も二人とは音信不通です。
読みづらい箇所あったと思いますが最後まで読んでくれてありがとう。少しすっきりしたよ

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