子どものころの怖い話
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ケンケン婆あ
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彼はいわゆる地主様の家系で、彼の祖父の代には家に囲われていた妾さんがいたらしい。
しかしあるとき、その女性は事故か何かで片足を失った。
それが原因で彼女が疎ましくなった地主は、女性を家から追い出して自分の持っていた山に住まわせたらしい。
それ以降ずっと山に住んでいたらしいが、そう言えば死んだというような話も聞かない、と。
ただそれが本当だとすれば、けんけん婆あは軽く150歳を超えていることになってしまう。
それに例の廃屋も、もとはなんだったのか分からないが、30年ほど前は山を整備するための道具おきとして使われていて、その時点ではすでに誰も住んでいなかったと。
さっきまではしゃいでいたオッサン3人組も婦人会の人たちも、これを聞いて絶句。
地主さんがぽつりと
「明日、宮司さんに頼んで御払いして貰うわ」
という言葉で、静かにお開き。
普段気丈な両親も、目に見えて沈んでいました。
それ以降、私たちはけんけん婆あを見ることはありませんでした。
彼女が何だったのかは未だに分からず終いです。
はたして150歳を超える老怪だったのか、それとも何かの霊だったのか。
ただ、未だにあの「かさっ かさっ」という足音を忘れることができません。
今でもあの山で耳を澄ますと、どこか遠くのほうかでこちらに向かって近付いてくる片足の足音が聞こえるようで、怖くてなりません。