心霊スポット・肝試しでの怖い体験
アザだらけの死体

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884 本当にあった怖い名無し sage 2012/09/27(木) 16:49:29.40 ID:ipXW6Hr60
―――だとしたらアイツは何だ??―――
さっきまでとは別の恐怖が俺の頭を支配してきた。とにかくここから逃げ出さなければいけない。
小声でAとBに「逃げるぞ」とささやき、もっていた荷物を地面に降ろした。AもBもうなづいた。
「今だ!」俺の合図で、3人同時に振り返って、トンネルの中をひた走った。
数分が何時間にも感じられた。途中心臓が破れそうになっても止まらなかった。
気が遠くなりかけたところで山の入り口のフェンスまで戻ってくることができた。
「なんだったんだよアレ・・・」Aがぜぇぜぇ息を切らしながら、そう吐き捨てた。
3人とも無事だった事に安堵しつつ、俺はBに携帯を借りて警察に連絡を入れた。
2日後、朝のテレビ番組で『幽霊トンネルで、連続怪死!?』と取り上げられていた。
あのあと、警察が遺体を運びだし、身元を確認したようだ。
あのおばさんは、2ヶ月前にトンネルで亡くなった大学生の母親だった。
子供の供養のために、近くの鬼子母神の寺に参拝してから、あの場所へ来たらしい。
司法解剖の結果、おばさんの両腕の骨は粉々になっていて、何度も硬いものにぶつかった跡があった。
だが医者が一番首をかしげたのは、両腕の神経までズタズタに千切れていた事だった。
通常、どんなに強い衝撃を受けても、神経がここまで細切れにされる事などありえないという。
激痛に悲鳴をあげながら腕を家中の壁にぶつけ続けるおばさんの姿を想像して背筋が凍る思いだった。
俺はどうしても気になって、あの鬼子母神を祀ってるという寺に電話して、住職に話を聞かせてもらった。

885 本当にあった怖い名無し sage 2012/09/27(木) 16:50:35.05 ID:ipXW6Hr60
鬼子母神というのはインドの伝承が元になっている神様らしい。
鬼子母神には、何百もの子供がいたが、他人の子供をさらってきては食べるという凶暴な気性があった。
それをいさめるためお釈迦様が、鬼子母神が一番かわいがっていた末っ子を隠してしまった。
子を奪われる親の気持ちを身にしみて理解した鬼子母神は自分の過ちを悟り、釈迦の元で心を入れ替えた。
その後は、安産・子育ての神として広く大衆に慕われるようになったということだ。
俺は、思い切って俺達が見た出来事を一部始終住職に話してみた。
すると住職曰く、あのトンネルは鬼子母神を祀ってある本堂の入り口からまっすぐ延長線上の位置にあり、通り道になりやすいのではないかという事らしい。
安産祈願の神様だけに、特に子を持つ親や女性に対しては影響が働きやすいのではないかとの事だった。
そういえば、亡くなった大学生は2人とも女性だった。
本来人々の信仰の対象であるはずの鬼子母神が、あの場所では人間に良からぬ影響を与えているのだとしたら、なにが原因でそうなってしまったのだろうか。
住職は、それについては分からないと言ったが、最後に「実は私の家内も半年前に突然苦しみだし、あっという間に死んでしまったのです。考えたくないのですが、もしかしたらうちの鬼子母神の本堂に、何か似て非なるものが入り込んでいるのかも知れません」
疲れきった様な声で、そうつぶやいた。

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