心霊スポット・肝試しでの怖い体験
アザだらけの死体

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882 本当にあった怖い名無し sage 2012/09/27(木) 16:47:17.94 ID:ipXW6Hr60
ゆっくり歩いたつもりだったが、それでも2、3分で出口まで出てきた。
出口の外は、かなり広い範囲が平地になっていて、一面背の低い植物が生い茂っていた。
舗装された道は、トンネルの出口までで途切れていて、これ以上先に進むのは苦労しそうだ。
すぐ右手に二階建ての民家が1つだけ建ってるのが見える。玄関の扉は取り外されていて、窓もついてない。
外壁全体が白く塗られた、街中でもよく見かける普通の一軒家だった。
「おいあれ見てみろ」Aが何かを指差しながらつぶやいた。
植物が生い茂ってるずーっと先、200mくらい先だろうか。ブランコやすべり台が見える。
「公園があるのか?」俺が目を細めながらそう聞くと、Aがやや声を強めた。
「いや、あれは人だ。誰かいるぞ」
目を凝らしてみると、確かに砂場の辺りに人間が見えた。
青いワンピースのような服を着た女が砂場の端に腰掛けて体をこっちへ向けている。
顔までは良く見えない。
「なぁ、帰らないか?」Bは、少し声が震えてた。
「ここに住んでる人間がいるってことかぁ?」Aが視線を民家に向けた。
その直後Aの動きが突然止まった。顔がこわばっている。
俺もAの視線の先を見てみて体が固まった。民家の屋根の上に人が立っていた。
日差しが逆光になって姿まではよく見えないが、人には間違いない。
呆然とその光景を見つけるしかない俺達3人の前で、その人影は腕を回し出した。
いや、腕を回すというより両肩だけを力いっぱい動かしているようで、
両腕の上腕や前腕、手首は、まるでかざりの様に肩の力によってブラブラと振り回されてるだけに見えた。
上半身の激しい動きとは対照的に足元は、ふらふらと右へ行ったり左へ行ったり、屋根から落ちそうだった。
3人とも声が出なかった。逃げる事もできず、ただただ立ち尽くしてその光景を見ているしかなかった。

883 本当にあった怖い名無し sage 2012/09/27(木) 16:48:45.63 ID:ipXW6Hr60
その時、どこかで「ギャーーーー」という女性の叫び声が聞こえた。かなり近くだ。
一瞬、さっきの女を思い出し、目だけを公園のほうに向けたが、女は変わらない様子でこちらを向いて座っている。
不自然なほど動きがないと言うか、さっき見た公園の風景と同じ写真でも見せられてる感じがした。
すると、また近くで声がした。今度は「いたい・・・痛い!!!」と聞こえた。
Bは、がたがた震えて腰を抜かしそうになっていた。Aも口を開けたまま、動けないでいる。
屋根の上に目を戻すと、影の腕の動きはいっそう激しくなっていた。
手首がちぎれるまでそれを続けるのかと思うくらい、上下左右かまわずあちこち振り回している。
最後は腕全体を風車の様にものすごい速さで回して、その勢いにひっぱられるように人影は屋根から飛んだ。
ドスン!という鈍い音を立てて、それは俺達の数メートル先に落ちた。
口から血を流して倒れていたのは、40代くらいのおばさんだった。顔をみれば誰でも即死だと分かる。
だが、おばさんの腕だけは、もぞもぞと円を描くようにまだうねっていた。腕中アザだらけだった。
目を見開いたままのその死に顔は、この世の全てに絶望しきったかのように、苦悶に満ちたものだった。
俺は、あまりの惨状に目をそむけたくなって、もう一度公園のほうへ目をやった。
女は、ただこちらを向いているだけだった。
何かおかしいと思った。
山奥のこんな空き家に人が住んでるはずもない。
第一あそこからでも、今起こった事は全て見えたはずだ。なのになぜ・・・・
俺は、そこまで考えてから、ふとさっきの悲鳴は目の前のおばさんのものだったんじゃないかと思った。
おばさんは、自分の意思とは関係なしに体が動いて、屋根の上から落ちたんじゃないかと。

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