山の怖い話
顔を覆う少女

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しかもその「見えない手」はかなり力が強く、振りほどこうにも解けない。
俺が何とか脱出しようともがいていると、少し遠くから「てー…」と聞き覚えのあるあの声がしてきた。
「やばい、この状況でやつに来られるのはかなりやばい…」何とか振りほどこうともがくのだが、たちの
悪い事に見えないだけでなくその手はこっちからは触る事もできず、何度か手のあるだろう場所を
蹴ったのだが全てスカってしまった。

そんな事をしているうちに女の子は既に俺の背後にまで来たらしく、真後ろから「見たい?見たい?」
という声が聞こえてくる。
俺はもう死に物狂いで無理矢理立ち上がり、足をつかまれたまま強引に歩き出した。
そして何度も何度も転びながら、少しずつ前へと進んでいたのだが、ふと顔をあげたときに女の子が
顔から手を離し素顔を見せるところをほんの一瞬だが見てしまった。

260 6/7 sage New! 2012/05/03(木) 01:50:55.62 ID:HPNJqzKn0
その時、俺は今まで感じた事の無いような絶望感と恐怖心を感じ、意識が遠のきそうになった。
が、見たのが一瞬ですぐに目をそらしたのがよかったのか、かろうじて意識は残っており、そのまま
這うように道路まで出てフラフラと立ち上がった。
が、それ以上もう一歩も歩けない、なんと説明すれば良いのか、眩暈がして頭の中がぐるんぐるん
周っているといえば良いのか、そんな感覚と理屈では説明できない恐怖心で体がガタガタと震え、
もう立っているのがやっとで一歩も足を前へ踏み出す事が出来ない。
無理に歩こうとすれば、足を掴まれていることもあり確実に倒れてしまうだろう。
そして倒れてしまったらもう二度と起き上がれない事も十分予想が出来た。

そこへ運の良い事にトラックが通りかかった。
俺は意識が遠のきそうになるのを必死でこらえ、全力で手を振り助けを呼んだ、するとトラックは
少し俺から通り過ぎたところで停まってくれた。
その時、俺の背後から例の女の子の声がした。
「残念、残念」と。
俺はもう眩暈のせいで気持ち悪くなり立っていられずその場にへたり込み、トラックの運ちゃんにこ
の道の先に友達がいて助けを求めている事だけを告げると、そのまま意識を失ってしまった。
なのでその後どうなったのかは全くしらない、気が付くと俺は病院のベットに寝かされていた。

あとから聞いた話によると、このトラックの運ちゃんが警察と救急車を呼んでくれたらしく、
その後無事にAもBもCも救助され、意識の無いAも俺と同じ病院に運び込まれたのだが、俺と
同じくらいのタイミングで意識を取り戻したらしい。
ちなみに、助けてくれたトラックの運ちゃんも仕事帰りに見舞いに来てくれたので色々と事情を
話したのだが、俺以外の人影は一切見なかったらしい。
そういう事なので、目撃者が俺たちだけだった事もあり、警察にも同じ事を話したのだが結局
信じてもらえず、俺たちは親からかなり叱られた。
まあ、あんな話をしたら嘘を付いていると思われても仕方が無いので、しょうがないといえばしょうがない
のだが…

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