山の怖い話
顔を覆う少女

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このままこうしていても埒があかない、そう考えた俺が「俺が走るの結構早いのみんな知ってる
よな?このままこうしていても何も進展しない、たしか結構広めの道から林道に入ってここに
来るまで30分くらいだったよな。なら長めに見積もっても2kmないはずだ、夜道とはいえ走れば
7~8分、長くても10分もあれば舗装された道路に出るはず、そこまで出れば携帯が繋がるだろうし、
繋がらなくても通った車に助けを求めれるはず、だから行って来る」と提案した。

BもCも危険だからやめろと最初は反対したのだが、このままだとAがどうなるかわからないし、
今は夜の8時過ぎ、これから日の出まではゆうに7~8時間ある、それまで薄いテントのビニール1枚
隔てて正体不明の相手に対して篭城するなど明らかに無茶だし、俺自身そんな状態に精神的に
耐えられそうに無い。そのことはBもCも解っていたのだろう、1時間以内に戻ってくる、戻ってこない
場合にはCとBで探しに行くという条件付で納得してくれた。

外からは相変わらず「てー…」という声が聞こえてくる。
かなり怖くて足がすくんだが、俺は勇気を振り絞って外に出た。
するとすぐ横から「見たい?見たい?」と声が聞こえてきて、ビビりまくった俺が声のする方向に
懐中電灯を向けると、懐中電灯に照らされて俺の真横1mもないくらいの近くにやつがいる。
そして、ケラケラと笑いながら顔から手を離そうとした。

俺は大慌てでやつから視線を逸らし、そのまま来た道を懐中電灯の明かりを頼りに全力疾走した。
舗装されていない道路なので走りにくいと思ったが、車も通れるくらいの林道で轍もあり、結構
踏み固められているらしくそれほど走りにくくも無い、これなら予想よりも早く道路に出れるかもしれない、
そんな事を考えながら走っていると、突然道の先のほうに人影が見えた。

259 5/7 sage New! 2012/05/03(木) 01:49:55.66 ID:HPNJqzKn0
「え?」と俺が懐中電灯で照らすと、それは例の女の子だった…
「そんなばかな、ありえない!」、もう500mくらいは走ったはずだし追いつける訳がないのだが、
現実に目の前に女の子は存在している。
そしてまたケラケラと笑いながら俺に「見たい?見たい?」と言いながら顔から手を離そうとしている。
俺は視線をそらすと女の子を見ないように避けながらまた走り出した。
ついてこようがこまいが、道路にさえ出てしまえばこっちのものだ、という自信があったからだ。

それからどれくらい走っただろうか、少し先のほうに車のヘッドライトが通り過ぎていくのが見えた、
もうすぐ道路に出れるようだ。
少しほっとした直後、何かに足をつかまれ俺は転んでしまった。
わけが解らず足元を見てみると、ありえないことだが何も無い、何も無いはずなのだが、明らかに
俺の足は何かにしっかりと掴まれている感触がある。

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