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その日から、彼女は学校で全く姿を見なくなった。
授業中も、いつもいる談話室にも、彼女はいなかった。
237 本当にあった怖い名無し 2007/08/02(木) 23:55:38 ID:S1H7zcE00
彼女と全く連絡が取れなくなって5日が過ぎ、心配で堪らなくなった私は彼女のマンションを訪れた。
私がマンションの入り口に入ろうとする直前、携帯が鳴った。
彼女からの電話だった。
私「○○ちゃん?授業に全然出てないけど、どうしたの?」
返事はなかった。
でも、電話の向こう側から何か聞こえていた。
爪で何かをひっかくような音と、何かの声。
ごにょごにょと何かを呟いているような、不気味な声。
私「どうしたの?今マンションの前にいるんだけど、何かあったの?」
彼女「・・・来ないで」
私「え?」
彼女「く、来ると、あなたも憑かれてしまう。」
私「一体どうしたの?憑かれるってなに?」
彼女「私みたいに・・・つ、憑かれて・・・しまうから、だめ。
彼女の声とは別に、あの呟くような声がしていた。
私「今、誰かいるの?」
彼女「い、いない。誰も・・・誰も・・・ひゃあああ!!」
彼女のつんざくような悲鳴がした。
私はエレベーターに乗って彼女の部屋の前まで急いだ。
私「どうしたの!?何があったの!?」
彼女「いや!あの音がする!!誰かいる!!!」
私がエレベーターに乗っている最中も、彼女は何かに恐れおののき絶叫し続けていた。
彼女の部屋の前まで行くと、中で彼女の絶叫と大きな物音が響いていた。
私「○○ちゃん!?」
私は彼女の部屋に飛び込んだ。
すると、彼女の声も物音も止んだ。
私「・・・○○ちゃん?」
私はゆっくり玄関を進み、彼女を探した。
彼女の寝室の前まで来た時、中から音がするのに気付いた。
カリカリ、カリカリ。
私「中にいるの?」
返事はなかった。
私はドアノブを回してドアを開けた。
彼女はベッドの上で、私に背中を向けるように体育座りしていた。
部屋の中はちらかっていた。
テーブルはひっくり返され、いつも綺麗にしてあった棚の小物は全て床に散っていた。
彼女は壁に向かって何かをしきりに呟いていた。
指を壁につけて、擦っているように見えた。
カリカリ、カリカリ。
彼女は爪で壁をひっかいていた。
私「○○ちゃん?大丈夫」
私はベッドの横に回りこんで彼女の顔を覗き込んだ。
生気を失い、深い隈をつけた目を、カッと見開いていた。
ゆっくりと彼女の首がこっちを向いた。
彼女「おばあちゃんの、狐が・・・」
私「キツネ・・・?」
彼女「あの音がする・・・カリカリって・・・憑かれてるの・・・」
彼女は正気をなくしているように見えた。
彼女「カリカリって・・・音が・・・ひぃぃ・・・」
彼女は膝に顔を埋めて、それきり黙りこんだ。
私は、彼女の言う音が、自分の爪で立てている音なのだろうと重い、彼女の腕を掴んで壁から離した。