洒落怖
長いトンネル

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951 本当にあった怖い名無し New! 2007/06/07(木) 14:28:24 ID:05FjsPwO0
ガタガタ寒くなって。
そりゃ冬の雪山なんだから当然っちゃ当然なんだけどね。
したらここでまた重なるようにウォークマンの電池がきれたの。
一気に無音。さーーーって血の気が引いていく勢い。
たまにゴォォォォってトンネルの中で風の音が反響しまくってるの。
で、一歩歩く事に自分の足音がじゃりじゃり響く。
もうね、前なんかまともにみれない。大分歩いたかな。
多分、十五分ぐらいして、半分ぐらいまで歩いてたんだと思う。
後ろ見ると、入り口が点。前みると出口が点。
ひたすら、黙々と下だけ見ながら歩きすすんでいったわけよ。
…ふとさ、視界に白い物が目にはいった。
暗いからはっきりと見えないのね。
で、次第に近づくとなにかわかった。
花束だったのよ。
やばいやばい!
って頭の中でぐわんぐわん警鐘なってるの。
ぞわわって鳥肌が足下から首筋かけて来る感じ。
今までそんな体験したことなかったし霊感もなかったから
あれだけど、関節がギシギシ痛む感じがあった。
なんでこんなトコで花束!?って気持ち一杯。
足取りが一気に早くなった。
見たくないのに、壁の模様とかが気になって仕方ない。
所々ひび割れてる隙間からなにかが覗いてるような感じ。
なんでかわかんないけど、ホントになんでかわかんないけど
女がいる。そんな感じがした。どんな事故かも知らなかったし
なにがあったとかも知らない。けど女がいる。

959 本当にあった怖い名無し New! 2007/06/07(木) 14:50:27 ID:05FjsPwO0
もうね、人間極限状態になってどうしようもなくなると歌うね。
歌ったさ、でかい声で何故かしらないけど
「はーれるや!」って何度もずっと繰り返し
ハレルヤ歌ったさ。お経じゃなくてなんでかハレルヤだったさ。
「はーれるや!はーれるや!」って全然歓びの唄じゃねえよ。
必死だよ。ただ、不思議と走れなかったんだよね。
走ると本気でついてこられる気がしたから、堂々したフリだけ
みせてさ。もう、急ぎたいけど走ったら来るって思った。
時々さ、視界にひらひら白いの薄い影が散らばるの。
雪だ。これは雪だ。って思うんだ。でももう片方で
トンネルの真ん中で雪が吹き込んでくるわけないってわかってる
部分もある。ひたすらハレルヤだけ歌って自分で自分を笑って
端からみたらおれが怖い人だよ。でも必死でしたよ。
時折、イヤホンしてたから風の音がひゅうひゅう聞こえる。
俺のハレルヤの声が馬鹿みたいにトンネル中に反響してる。

960 本当にあった怖い名無し New! 2007/06/07(木) 14:53:18 ID:05FjsPwO0
でも、おれ聞いちゃったんだ。女の悲鳴。
耳で聞こえる感じじゃないんだよ。脳内ガツーンって響くの。
あとはもう必死。とりあえず、トンネルから出たかった。
随分走ったよ。ついてきてるとかそんなのどうでもよかった。
息きらして、トンネルの出口が段々近づいてきた時には
「ああ、よかった出られるんだ」って
マジで安心した。外の明かりが見えて、眩しいなあって思って。
で、はっと振り返ったらさ。まあなんにもなかった。
普通のトンネル。真ん中なんかさ、随分くらいの。よくあんなとこ
歩けたな俺って思いながら…向こう側みようとするんだけど、
ただの暗闇。
若干カーブもしてたっぽい。こんなに長いトンネルだったなんてなぁ。
って思わず笑ってからこんどはさらに背筋がこおった。
じゃあ、俺が入り口で見た、出口だと思った明かりは
なんだったんだ?つうかあんなくらいトコでよく花束だなんて
分かったなぁ…妙に白く目立ってたけど…。
…よくわかんないけど、ほんと出れてよかった。
姿は見えなかったけど、確かに女はいました。

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