洒落怖
錆びたかんざし

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759 名前: 本当にあった怖い名無し 2006/08/07(月) 18:52:57 ID:9kqhdZdZ0
もうこうなったらと思って、「すいません、昨日か一昨日くらいに、このへんで金色のかんざしみたいなクリップみたなのを落としちゃったんですけど無かったですか?」
と近づきながら聞いてみました。
おばあさんはじっと相変わらず私を見ていて、ちょっと一瞬怖くなったけど、別段昨日みたいなこの世ならぬ寒い感じはしなかったし、明るくて人通りもたくさんです。
「いつ?あんたここの道入ったの?」とおばあさんが言いました。
「いや、入ったってほどではないんですけど、ちょっと酔っ払ってたんで・・」と言葉を濁したら、
「かんざしなんて無いよ。このこと?」と、緑の大きなちりとりの中に、葉っぱとかゴミと一緒に入っているのを指指しました。
「あ!これです」って手にとった瞬間・・・金色のメッキでビーズがついていたクリップは真っ赤に錆びていて、触った瞬間昨日の鳥肌がまた立ちました。
「こんなに汚れっちまって、そんでもいんならいけど、いらないんなら置いてきな。
ばあちゃんほかしといてやるから」(なぜか関西弁?)とおばあさんが言いました。
気に入っていたし、たぶん手にとった瞬間の鳥肌が無ければあれだけぼろくても持って帰ったと思います。
でもすごくいやなかんじがして、持ち帰りたくないと強く思いました。
「・・すいません、じゃあこのまま捨ててください」「酔っ払いだかなんだか知らんけど。ここ私道だからね。もう入ったらだめだよ」
とおばあさんが言いました。
人通りはたくさんありましたが、来たことを後悔していました。早くその場を立ち去りたくてたまりませんでした。
おばあさんに挨拶もそこそこに帰ろうとして、一瞬ちらっと振り返りました。
おばあさんはほうきとちりとりを持ったまま、さっきまでとは別人のように怒りの表情を浮かべてわたしを見ていました。
路地の奥が少しだけ見えました。通路のむこうに、内股すぎる頭の大きな人が曲がって消えていくのが見えました。

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