洒落怖
文明の利器を利用

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私は「ギャッ」とうめいてしまった. Aはうつむいて無言だった.
ラジオからは「早く戻って」と声が続いた…
さらに怒った感じで「早く…」と聞こえてきた辺りで, Aが堰を切ったようにキレてラジオに罵声を浴びせだした.
「ふざけるな!!」「昼間からまとわりついてんじゃねーよ!!」「キレたいのこっちだ!!」
「お前なんざ消えちまえ!!」「失せろ!!」的なことを矢継ぎ早に言いながら, ラジオをガンガン殴ってた.
運転しながらキレてるAの横顔を見たら, 涙流しながら鬼のような形相してた.
数分後, またAは無言になったというか眠ってた.
いつの間にかカーナビの目的地は消えており, ラジオからも声が聞こえなくなっていた.
家についたところで, Aを起こした.
「昼間からまとわりついてた」ってところが気になって, どういうことか聞いたが「何のことだ?」返ってきた.

そもそも, 最初の「おろしてよ」辺りで意識がなかったらしい.
キレてたあんたはなんなんだよ?とか, 昼間からってなんだよ?とか, いろいろ疑問が残ったが大事に至らなくて良かったということで, めでたしめでたしとなった.
それ以来, Aと私はBの車に乗らないことにした.
Bのお迎えに関してだが, 何故か私の車のバッテリー上がりが直っていたので, 私の車で行きました.
私の車からは怪奇現象は起きなかったし, 事故を起こしそうになるとかもなかった.
Bには「俺の車で充電したのかよ!?」と怒られたが, とりあえずそういう事にしておいた.
怪奇現象については伏せてカーナビ故障してるぞと言うと, 故障も何もカーナビ使ってないから線を切ってあると返ってきた.
最早, 「そうか…」としか言えなかった.
ちなみにAがキレるところを見たのは, 後にも先にもあれが初めてです.
カーナビやラジオの件も怖かったけど, あの時のAの顔は恐さと意外さで今でも頭に焼き付いている.

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文明の利器を利用