山の怖い話
うたて沼

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とりあえずここからすぐに退散した方が良さそうだ。
3人でそう話して気がついた、あの物体は俺たちが登ってきた道沿いにやってきて
いる、ということは、来た道を戻れば確実に鉢合わせしてしまうという事だ。
とりあえず逃げようと言ったは良いがどうしたら良いのか解らない。すると、Bが
「ここ通れそうだぞ!」と茂みの方を指差した。
そこへ行ってみると、近くまで行かないと解らないであろうくらい細い獣道のような
ものが下へと続いている。ただし、この道がどこへ続いているか全く解らないうえに、
俺たちが登ってきた道とは完全に反対方向だ、当たり前の事だが逃げれるには逃
げれるが車からは遠ざかる事になる。

その事はAもBも解っていたのだろう、この獣道を下るかどうか躊躇していると、
突然耳に違和感を感じた、感覚としては車で山を登っていて気圧差で耳がおかしくなる
感じが一番近いだろう。AもBも同じ違和感を感じたらしく戸惑っている、その時俺は
ふと下のほうを見た。すると、例の物体はもうすぐそこ、恐らく二の丸であろう平地の
部分までやってきていた。

つづく

140 最後 sage 2013/11/07(木) 20:29:23.76 ID:N/XIvReQ0
もう迷っていられるような余裕も無い。
俺は2人にもうあれが凄くそこまで来ている事を伝えると、おもいきって獣道のある
茂みを下る事にした。
2人もそれに続き、殆ど茂みを掻き分けるように道を下っていくと、後ろの方からA
が「ヤバイ、もうすぐそこまで来てる!急げ!」と言ってきた。
俺が後ろを振り返ると、例の黒い物体がもうあと10mくらいのところまで近付いてきて
いる。
俺たち3人は最早草や木の枝をかき分けることすらやめ、がむしゃらに獣道を
駆け下りた。

どれくらい走っただろうか、暫らくすると木の間から舗装された道路が見えてきた、
俺たちは泥だらけになりながらも必死で殆ど転がるように道を下り、なんとか舗装された
所までたどり付くことが出来た。
その時、突然金属質の耳鳴りのような音が聞こえ、次いで後ろから「バチンッ!」と何
かが弾けるような音が聞こえてきた。びっくりして後ろを振り向くと、そこには例の黒い
物体はなく、爆竹か何かを破裂させたような、そんな感じの煙が漂っているだけで、
俺たちは呆然としてしまった。

その後、民家も無いような山道を散々迷い、殆ど真っ暗になる頃にやっと最初に車を
停めたところまで戻る事が出来た。
結局その後もあれが何だったのかはわからない、そもそもあんな体験をしてまた
同じ場所へ戻る勇気などなかったし、そんな事をしても俺たちに何の得も無かった
からだ。

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