この怖い話は約 3 分で読めます。
時間を確認すると、まだまだ日没までは余裕がありそうだ、俺たちはなんとなくその
廃寺を探索することにした。
が、周囲を歩き回っても特に目に付くようなものはなく、ここから更に続くような道も
見当たらず、Aと「多分さっきの分かれ道を右に行くのが正解なんだろうなー」と話し
ていると、本殿の中を覗き込んでいたBが「うおっ!」と声を挙げた。
Bの方をみると本殿の扉が開いている。
話を聞いてみると、だめもとで開けてみたらすんなり開いてしまったという。
中は板敷きで何も無くガランとしている、見た感じけっこうきれいな状態で中に入って
いけそうだ。
中に入ってみると、床はかなりホコリだらけで恐らくだいぶ長い事人が入っていない
のが解る、なんとなくあちこちを見回していると、床に何か落ちているのが見えた。
近付いてみると、それはほこりにまみれ黄ばんでしわくちゃになった和紙のようで、
そこにはかなり達筆な筆書きで「うたて沼」と書かれていた。
つづく
138 3 sage 2013/11/07(木) 20:27:36.77 ID:N/XIvReQ0
なんだなんだとAとBも寄って来たので、俺は2人に紙を見せながら「うたてって何?」
と聞いたのだが、2人とも知らないようだ。
そもそもこの寺には池や沼のような物も見当たらない。
本殿の中にはそれ以外なにもなく、「うたて沼」の意味も解らなかった俺たちは、紙を
元あった場所へ戻すと、城跡へ向かうために廃寺を後にした。
元来た道を戻り、さっきの分かれ道を右の方へと進むと、すぐに山の頂上へとたど
り着いた。
ここには朽ちた感じの案内板があり「○○城跡 本丸」と書かれている、どうやら
ここが目的地のようだった。
山頂はかなり開けた広場になっており、下のほうに市街地が見えるかなり景観の
いい場所だ。
と、なんとなく下のほうを見るとさっきの廃寺も見えた。
3人でさっきの廃寺って結構広い敷地なんだなーなどと話していると、ある事に気
がついた。
寺の庭を回った時に一切見かけなかったはずだが、庭の端の方に直径数mくらい、
大きな黒い穴のようなものが見える。
「あんなものあったっけ?」と話していると、寺の庭に何か小さな動物が出て来ていた、
そしてその動物が庭の中を走り出した瞬間、その穴のようなものが「動いて」まるで
動物が穴の中に消えてしまったように見えた…
わけが解らない現象を目の当たりにした俺たちは「…今あの穴動いたよな?なんだ
あれ…」と唖然としていると、更にとんでもない事が起きた。
その物体が突然宙に浮くと、かなり高い距離まで上りそのまま移動し始めた。
その時になって、俺たちはあれが穴などでは無く、真っ黒で平面のなんだか良く解
らない物体である事に気がついた。
つづく
139 4 sage 2013/11/07(木) 20:28:49.45 ID:N/XIvReQ0
その平面状の物体は結構な高さを浮いて、俺たちが来た道の上を山頂へと向かっ
て進みだした。
その時、恐らく移動する物体にびっくりしたのだろう、木の間から大きめの鳥が飛び
出し、宙を浮く平面状の物体とぶつかった。
が、鳥はそのまま落ちる事も物体を通り抜ける事も無く消えてしまった…
何がなんだか解らないが、とにかくあれは何かヤバそうなものだ、そしてそのヤバ
そうなものは明らかに俺たちの方へと向かってやってきている、その事だけは理解
できた。