子どものころの怖い話
S家

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夜になって鍋も出来上がった。
新年でめでたいという事もありビールや酎ハイ(お酒は20歳になってから)で乾杯して鍋をつつき始めた。
そこからはしばらく鍋をつつきながらとりとめなく話をしていた。

鍋も終わり夜も更けていき、酒を飲みながら話をしていたら何となく話題がこの家に「出る」という流れになった。
しばらくは中学生の頃あった(一番目の話)事とか他にSが体験した事とかを話していた。
そのうち酒の力も手伝ったのか話は盛り上がり、段々と「怖い話」大会になっていった。
そのころには夜中の3時か4時くらいになっていたけど皆のテンションは高く、それぞれが聞いた話やテレビで見た話などをワイワイとしていた。

つづく

337 本当にあった怖い名無し 2007/07/26(木) 14:11:48 ID:82ZGPxY60
つづき

怖い話も絶好調に盛り上がった時、突然部屋の入り口の襖が誰かが力一杯叩いたように、ドーンと大きな音を立てて揺れた。
一瞬皆は驚き話が止まってしまった。
深夜に騒ぎすぎて階下で寝ていたSの親が怒りに来たのかと思い、皆静かになった。
でもよくよく考えてみたらSの家族は帰省中でいないはず。
不審に思ったSが「誰?」と問いかけた瞬間、入り口の襖だけが物凄い勢いでガタガタと揺れ始めた。
明らかに地震とかでは無い異様な雰囲気に、皆一気にほろ酔い気分が醒めパニックに陥った。
とにかく襖から一番遠い対角線上に皆で固まってビビっていた。
誰か開けて見てこい、とお互いに言い合ったりしていたが誰も開けに行く勇気なんて無かった。
皆口々に怖いとかなんとか、とにかく叫んでいた。

つづく

338 本当にあった怖い名無し 2007/07/26(木) 14:12:24 ID:82ZGPxY60
つづき

どれだけ時間が経ったかは分からなかったけど突然ぴたりと揺れが止まった。
気がつくともう空が明るくなりかかっていた。
それから完全に日が昇り明るくなるまで誰一人襖を開けようとはしなかった。できなかった。
ひたすら尿意をこらえて完全に明るくなってから皆で襖を開けた。
でも、あの揺れを証明する様な痕跡は何も無かった。
家は鍵がかかった状態で誰も入って来るはずも無かった。
誰かが襖を叩いた様な跡があったり、足跡や手形があった訳でもなかった。
ただただいつもと変わらない様子だった。
だけど本当に怖かった。

あの時誰かが襖を開けていたらどうなっていたのかと思う。
後々誰かから、ふざけて幽霊話をすると幽霊が怒ったりする事があるという話を聞いた。
自分の存在を知らせる為に色んな事をするという話だった。
あれもそういう事だったんだろうか。

あれから10年以上経った今でも友人達と再会すると、時折この事が話題になる。
あれは一体何だったんだろうと。
ちょっと怖いが良い思い出話として。

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