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401 本当にあった怖い名無し sage New! 2014/01/25(土) 00:06:43.47 ID:M63QCTQ20
はっきり言うと、駅員はいた。真っ暗な駅舎の中、受付にだけ光が
灯っていて、軍人みたいな制服に身を包んだ駅員が、一人だけ。
「Y駅に行く電車はいつ来ますか?」と聞いたけど、駅員は
ぐごご、と低いうなり声を出すだけだった。重ね重ね同じことを
たずねても、駅員は唸り声を出して、何かを催促する手振りをする
だけだった。はっきり言って、知的障害なんじゃないかと思った。
どうやら駅員が切符を出せと言いたいらしいと気付いて、
俺は切符を出した。すると駅員は、何も言わず切符を切ってしまった。
それはY駅まで行くための切符だったのに、俺は愕然とした。
402 本当にあった怖い名無し sage New! 2014/01/25(土) 00:07:35.69 ID:4rqWkTk20
「貴方は話が解らないんですか? 他の人を呼んでください!」
俺がそう言うと、駅員は駅舎の外へ行けというような手振りをした。
言われるがまま(?)俺は駅舎の外に出たんだが、全く誰もいない。
やはりあの駅員は知的障害だったのかもしれない。
「お前はあの駅員と同じ知恵おくれだ」
みたいな幻聴が繰り返し脳内に響いていた。多くの人が非難していた。
母親に電話しようと思ったが、圏外だった。
俺は駅舎へ退き返そうとしたが、あの知的障害の駅員に会うと思うと
何となく嫌だった。(知的障害の駅員というのは確かに変だが)
ただ、何もない田園風景の、遠くから、何かが祭囃子のようなもの
が聞こえていることも確かだった。それが幻聴であるか、全然判断
がつかないけれども。もしかしたら駅員は話の分かる地元民に聞け
と言いたかったのかもしれない。俺は音のする方向へ足を向けた。
403 本当にあった怖い名無し sage New! 2014/01/25(土) 00:08:26.93 ID:M63QCTQ20
誰もいない道を歩いて、十分ほどした後のことだろうか。
向かい側から、一人の老人が歩いてくるのが見えた。
その老人には片足がなく、義足をしていた。歩くたびに、こつこつと
金属質な音が聞こえる。俺は老人を捕まえて、今まであったことの
事情を話した。すると老人は、
「この十字路を真っ直ぐ行って、突き当りを左に行ったら、トンネル
が見えるけえ、そこを通って、次に見える角を右に、その次の次の角
にバス停があるけえ、そこからY駅に行けるけえな」と言う。
それが本当に正しい言葉かどうかは解らなかったし、ややこしい
老人の説明に俺は混乱した。すると老人は「地図を書いてやろうか」
と言った。(上の説明だけやけに覚えているのは、地図が今もあるから)
404 本当にあった怖い名無し sage New! 2014/01/25(土) 00:09:10.12 ID:M63QCTQ20
老人は手帳を取り出して、ページの余白に地図を書いてくれた。
手帳には変な文字が多く書かれていて、余白は少なかった。
「この通りに行けば間違いはないから」と言って、老人は地図を渡す。
その地図を見て、俺は首を傾げてしまった。
地図自体は問題ないとして、そこに書かれている文字が、見たことも
ない文字だったからだ。ひらがなでもなければ、漢字でも、ハングル
でもない。強いて言えば、子供の落書きみたいな文字だ。
「この文字は、何ですか?」と聞くと、老人は「バスの出る時間や」
とだけ言った。俺は理不尽な気持ちになりつつ、老人に礼を言って、
その通りの道を進むことにした。