人形にまつわる話
生き人形

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440 名前:行き人形2 投稿日:2000/08/24(木) 01:11
そして、次の日の朝、彼の奥さんが不思議な事を言いだしました。
「昨日泊られた方はどうしたの?」
昨夜タクシーから降りたのは、もちろん彼だけです。
とうぜん部屋に入ったのも彼ひとりです。
彼女は彼の後を付いて入ってきた人の足音を絶対聞いたと言い張るのでした。
そして、ソレが一晩中歩き回って五月蝿かったと・・・・。
次の日一緒に帰ったデレクターから首をかしげながら、彼にこんな事を聞いてきました。
「そんなわけないんだけど・・・・誰かと一緒に降りたけ????・・・・・・・」
その日の午後、稲川氏に仕事の依頼が入りました。
人形芝居「呪女十夜(じゆめじゅうや)」
不幸な女たちの十景のオムニバスで構成される幻想芝居。
その不幸な女達を人形が演じ、その他の登場人物は人間が演じるというものでした。
稲川氏は座長として今回の芝居に関る事になっていました。
打ち合わせ中、その世界では有名な人形使いの「前野」氏から、
いま作られている人形の絵を見せられて驚きます。
そこに書かれている絵は、あの高速で見た女の子そっくりだったのです。
台本がもう少しで出来上がる頃、前野さんの家に完成した人形が届きました。
稲川氏は台本の打ち合わせをかねて、前野さん宅にその人形を見に行くのでした。
芝居で使う人形は二体。
ひとつが男の子の人形で、もう一体が女の子人形でした。
その女の子の人形が、あの高速で見た人形であり、その後数々の怪奇現象をおこす人形なのです。
ちなみにその二体の人形は有名な人形作家「橋本三郎」氏が作られました。
前野さんは数百体の人形達と暮らしていました。
稲川氏は前野さん宅で出来上がった人形を見て不思議な事を発見します。
女の子の人形の「右手」と「右足」がねじれていたのです。
・・・・どうして直さないのかと前野さんにたずねると、「直したくても直せない」と。
この人形を作られた橋本氏が人形を完成させてすぐに行方不明になっていたからなのです。
そして、次の日、台本を書いていた作家の方の家が全焼してしまいます。
舞台稽古初日までに台本は間に合わなくなってしまうのでした。
稲川氏達は、壊れた人形、そして、台本無しで舞台稽古をはじめるのでした。
人形使いの前野さんのいとこの方が変死した電話がかかってきたその日から、
舞台稽古中の彼等に次々と怪奇現象が襲いかかってきました。
舞台衣装の入れたカバンやタンスに水が溜っていたり、突然カツラが燃えたり、
右手右足を怪我をする人が続出したりしたのです。
「呪女十夜」の公演の初日をむかえました。

441 名前:生き人形3 投稿日:2000/08/24(木) 01:14
が、・・・・・公演開始数時間前に、出演者が次々に倒れてしまったのです。
喋る事はできるのですが、金縛りのようになって身体が動かないのです。
初日は昼と夜の2回公演だったのですが、昼の公演はやむなく中止。
初日で関係者の方が多かったので、昼と夜の部を一緒にしてもらう事にしました。
「とにかくお札を集めよう。」
彼等は近くの神社やお寺をまわり、あらゆる種類のお札を持ってきて控え室に貼ってみました。
効果があったのでしょうか?なんとか夜の部の舞台を始める事ができました。
やはり、公演中にも次々に怪奇現象が起こりました。
人形が涙を流し、居るはずない黒子がもう一人居たり、
そして、突然人形の右手が「ビシッ!」と吹き飛んだのです。
パニックになりそうになりながらも、出演者達は演技を続けました。
人形を棺桶に入れるラストシーンをなんとかむかえる事ができました。
が・・・・
棺桶に人形を入れた途端に底が抜け、人形の首、腕、足が千切れてしまったのです。
ドライアイスを焚いたような謎の冷気をもった白い煙が舞台一面に広がり・・・・
夏だと言うのに信じられない冷気に開場がつつまれました。
幽霊がこわいからって、途中で舞台を投げ出すわけには行かない。
稲川氏達は、恐怖におののきながらも決められた最終日までなんとか舞台公演を続けるのでした。
なんとか無事に全ての公演日数を終了できました。
もう二度とこの劇はしたくないなぁ・・・・全ての劇団員達はそう思っていました。
とうぜん稲川氏も同じ気持ちでした。
しかし、最終公演を終え打ち上げをしている稲川氏達に劇場からとんでもない依頼が入ります。
・・・・・追加公演をしてくれ。
つぎにここでやる事になっていた舞台が突然中止になったのです。
・・・・だから、いまやっている舞台を追加公演してもらえないかと。
スタッフ・出演者達は大反対!
しかし、人形使い前野さんの異常なほど強い希望により追加公演をする事になるのでした。
・・・・・・その前野さんのお父さんが急死されたのが次の日でした。
舞台がなんとか無事に終了した数ヶ月後、この話をTBSの番組
「3時にあいましょう」が聞きつけて怪奇シリーズで放送する事になりました。
人形使いの前野さんが、あの人形を保管していました。
番組撮影のために人形を持って現れた前野さんは少しおかしくなっていそうです。
その人形をまるで生きているかのように話し掛けていたり・・・・・・
やはり怪奇現象が起こりました。
まずは番組リハーサル中に照明用のライトが落ちてきた。
そして、生放送の番組中には、人形の上にバックに吊っていたカーテンが突然切れて被さり・・・・
女性スタッフ達は恐怖で泣き出してまともな番組にはなりませんでした。
その後、その番組のスタッフ達に怪我をする人が続出し、
この番組に関った関係者達はバラバラとTV局を止めていったそうです。

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