田舎・地方の習慣
おごめご様

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211 3/4 sage New! 2007/05/11(金) 00:43:16 ID:O/tYcYkn0

従妹「…おごめご様がお化けだって言う子たちがいるんだよ。おごめご様が出たって言うの」
俺「…どんなの?」
従妹「渡り廊下の隅っこにね、白い子供が仰向けに寝てるんだって。大の字に広がってて、
頭だけこっちを向いてて、それで『めごめご、おごおご』って言うんだって。だからおごめご様なんだって」
従妹がへったくそな絵を書いてくれたんだが、それがまた何とも言えない怖さだった。
おごめご様は頭をこちら、足を反対側に向けて寝転がっている。その頭がこう、くっと立てられているのだ。
首だけでブリッジしたみたいな感じ。
従妹「最近おごめご様が出るからって、下の廊下通んない子もいるんだよ」
どうやらこのおごめご様はいい神様にしろ悪い神様にしろ、相当学校ではやっているようだった。
その場は祖母からお呼びがかかってお開きになったのだが、面白くなったのはその後だ。

結局学生の気楽さで、平日も自主休講して二日から六日までお茶の手伝いをし、明日は帰るかと言う五日の晩だった。
従妹(家はすぐ近くだがこの時は泊まってった)はもう寝ており、ばあちゃんと父母、俺で、
夕食後にのんびり酒を飲みながらだべっていた。
大方はお茶の話で、今年は三月から冷えた日が続いたから今一葉っぱの出が悪かったとか、
この辺ももうお茶を継ぐ人がおらんで大変だとかそんな愚痴みたいな話をしていたんだが、
その内にふっと思い出しておごめご様の話をしてみた。
俺「そういやさー、ゆきの学校でさー、なんか変な神様がはやってんだって。おごめご様とかいってさあ」

するとばあちゃんがぎょっとした顔をした。

212 4/4 sage New! 2007/05/11(金) 00:45:04 ID:O/tYcYkn0

俺「?」
祖母「それ、本当か? おごめご?」
俺「らしいよ。よく分かんないけど、願いを叶えてくれるやらお化けやら諸説出てるって」
祖母「………はあー、まさかゆきはさわっとらんだろね」
ばあちゃんは何だか本当に驚いたような顔をしている。父母がきょとんとしているので、俺は二人におごめご様の説明をした。
父は膝を叩いて言った。
父「あー、知ってるぞそれ。俺のときは何だったかなあ。
なんだか新館を建てる時に山を削ったら山の中にあの石があって、邪魔だからって掘ってみたんだな。
そしたら下から壷に消し炭だか骨だか入ったのが出てきて、こりゃなんだか曰くのあるもんだろうっつって
お祓いして岩をあそこに動かしたとかなんか、そんなんじゃなかったかな」
初耳だった。墓石というのも満更ガセではなかったらしい。
聞けば俺たちが噂していた二階から落っこちたやつは親父の四つ上の男子だと言う。
窓の側でふざけていて、身を乗り出しすぎて落ちたらしい。
確かにあの岩に頭をぶつけて危なかったが、死んではいないという。
父「ばあさんも知ってるのか、アレ。子供だけの噂だと思ってたわ」
するとばあちゃんは呆れた顔をした。
祖母「知ってるも何もあんた、ありゃSんとこのモンだい。S、ほら、じーさんのハトコが跡とってからすっかり潰れたろ。
山ももう持ってられんくなったんだな。ちょうど学校を広げるっつうから県に売ったんだ。近所でもずいぶん止めたけえが
聞きゃあしない。ほいで山潰して学校にして、すぐSの家屋敷も焼けちまったろうが」

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