師匠シリーズ

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地元の大学ということもあってか、その女子高出身の人が俺の
周辺には結構いた。
同じ学科の先輩で、その女子高OBの人がいたのでわざわざ話
を聞きに行った。
やはり、自分でもかなり気になっていたらしい。
「京子さん? もちろん知ってる。私の1コ上。そうそう、停
学になってた。なんとか京子と、山中ちひろ。占いとか言っ
て、血を吸ってたらしい。うわー、きしょい。二人とも頭おか
しいんだって。とくに京子さんの方は、名前を口に出しただけ
で呪われるとかって、下級生にも噂があったくらい。えーと、
そうそう、間崎京子。ギャ、言っちゃった」

432 血   前編 ウニ New! 2006/06/03(土) 12:16:30 ID:3rNkYIQb0
その先輩に、「京子」さんと同学年という人を二人紹介しても
らった。二人とも他学部だったが、学内の喫茶店と、サークル
の部室に乗りこんで話を聞いた。
「京子さん? あの人はヤバイよ。悪魔を呼び出すとか言って、
へんな儀式とかしてたらしい。高校生がそこまでするかって
くらい、イッちゃってた。最初は占いとか好きな取り巻きが
結構いたけど、最後はその京子さんとちひろさんしかいなく
なってた。卒業して外に出たって話は聞かないから、案外ま
だ市内にいるんじゃない? なにしてるんだか知らないけど」
「その名前は出さないほうがいいですよ。いや、ホント。ふざ
けて陰口叩いてて、事故にあった子、結構いたし。ホントです
よ。え? そうそう。ショートで背が高かったなあ。顔はね、
きれいだったけど・・・近寄りがたくて、彼氏なんかいなさそ
うだった」

話を聞いた帰り道、ガムを踏んだ。
嫌な予感がする。
高校時代から、怪我人が出るような「遊び」をしていたという、
「京介」さんの話と合致する。
山中ちひろというのは、京介さんが親しかったという黒魔術系
サークルのリーダー格の女性ではないだろうか。
間崎京子。頭の中でその言葉が回った。

433 血   前編 ウニ New! 2006/06/03(土) 12:17:25 ID:3rNkYIQb0
それから数日、ネットには繋がなかった。
なんとなく京介さんと会話するのが怖かった。ギクシャクして
しまいそうで。
ある意味、そんな京介さんもオッケー! という自分もいる。
別に取って食われるわけではあるまい。面白そうではないか。
しかし「近づくな」と短期間に4人から言われると、ちょっ
と警戒してしまうのも事実だった。
そんな、問題を先送りにしただけの日々を送っていたある日。
道を歩いているとガムを踏んだ。
歩道の端にこすりつけていると、そのとき不思議なことが起こ
った。
一瞬、あたりが暗くなり、すぐにまた明るくなったのだ。
雲の下に入ったとか、そんな暗さではなかった。
一瞬だが真っ暗といっていい。
しばらくその場で固まっていると、また同じことが起こった。
パッパッと、周囲が明滅したのだ。
まるでゆっくりまばたきした時のようのようだった。
しかしもちろん、自分がしたまばたきに驚くようなバカではな
い。
怖くなって、その場を離れた。

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