洒落怖
密告者

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357 7/9 sage New! 2008/05/29(木) 14:40:11 ID:49roVKq00
そのうち部屋の中から呻き声が聞こえ始めた。
「がぁ・・・ぐっ・・・うぁああああああ・・・・」
そのとたん黒い服の男がバンとドアを開け勢いよく入っていく
私たちは震えながら動くこともできず陰からずっと見ていた。
黒い服の男と一緒にいた従業員たちも後に続いて部屋に入って行く。と、その時
従業員の一人と目が合う。資料コーナーにいたおじさんだ。
おじさんは知子の方を見てニヤリと笑い部屋に入って行ったように見えた。
廊下に他に誰もいなくなり、私たちはチャンスだとばかりに食堂へ走るその背後に、
あの部屋から
「ぎゃあああああああああ・・・・。」という断末魔の叫び声が聞こえた。

「どうなったんだろう…。」真っ青な顔で知子が言う。
私は「わかんない」とだけ答え、あとは二人とも沈黙する。
ご飯なんて全然ノドを通らなかったし、その夜は全然眠ることができなかった。

358 8/9 sage New! 2008/05/29(木) 14:44:23 ID:49roVKq00
次の日の朝食、生徒は食堂に集まって食べることになっていたので
私たちも重たい体を引きづるように食堂へ向かった。
食堂へ着くと後ろから「おはよう」と声をかけられる。
振り向くと、あの男子たちグループだ!!
「いや~、昨日俺達なんか知らんうちに爆睡してて、遊びに来てとか言ってたのにごめんね。」

私と知子は同時に顔を見合わせる。
なんか知らないけど、元気だ!!全然無事だ!
そう思って、今まで感じた事が無いほどの安堵感を覚えた。
知子も泣きそうな顔をしている。
不思議そうな顔をしてる男子たちの前で私たちは「よかったね~!!」って抱き合った。
朝食は二人とも昨日の夕食分もこめて、モリモリ食べた。
食べ過ぎて出発時間がやばくなり、部屋に戻って荷物をとりあえず詰め込んで部屋を出る。
ホテルの出口には、従業員一同が並んでお見送りをしてくれてる。
その中で、例の資料コーナーであったおじさんとまた目が合い、無視するのも嫌なので
「お世話になりました」と頭を下げた。
すると、おじさんは隣で歩いていた知子を見て
「またね。」
と言った。

359 9/9 sage New! 2008/05/29(木) 14:47:36 ID:49roVKq00
バスに乗り、隣の席の知子が「一応酔い止め飲んでおこう。」と言って、鞄をガサゴソしている。
そしてその手が止まる。
知子の顔がどんどん血の気を失っていく。
「知子?」と聞くと、あわてて鞄を閉じるが、
一瞬、鞄の中の手元に血のついた白い浴衣がちらりと見えた。
なぜか不意にポケットの中に丸め入れた紙屑がガサリとした。
「怖い話でもしようか」
後ろから声がする。振り返ると、無表情な顔で男子がこっちを見ている。
知子は、「具合い悪い」からと先生の隣の席へ移って行った。

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