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古い鏡

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606 名前:zom 投稿日:03/05/06 17:16
 早速その建物に侵入しようとしたんですが、ドアにはカギが掛かっているし、
一階の窓には鉄格子みたいなのが嵌ってるしで、とても入れそうにありません
でした。清水と石川がバットと木刀でドアを叩いたりガラスを割ったり大声を
出したりしたのですが、あたりは静まりかえっていてなんの変化もありません。
徹夜明けでハイになっていた俺たちのテンションも下降気味でした。
「おい。こっちに道があるぞ。」
 原田が建物の裏で呼ぶのが聞こえました。行ってみると、細い山道が森の奥
に続いていました。最初の意気込みが空振りに終わりもやもやした気持ちを抱
えていた俺たちは、とりあえずその山道をたどることにしました。

 しばらく歩くと、開かれた場所に出ました。そこは少し窪んだ地形になって
いて、中心には小さな小屋のようなものがありました。その小屋がちょっと変
でした。石を積んで、隙間をコンクリートで埋めてあるのですが、まるで慌て
て作ったみたいに乱雑な造りで、壁も垂直じゃなくて傾いていて凸凹してるし、
全体の形も崩れかけっていうか、土の塊をグシャッて置いたような感じです。
「見ろよ。変な扉。」
 斜めになった壁に、無理矢理という感じで鉄の扉がはめ込んでありました。
「開けるぞ。」
 清水が取っ手を掴んで引くとギィィと開きました。中は外より更に暗くて、
様子が良く分かりません。清水が足を踏み込むとザリッザリッと小石を踏むよ
うな音がしました。

607 名前:zom 投稿日:03/05/06 17:18
「うわ!なんだコレ。」
 清水が声を上げました。俺と石川と原田が中に入ると、一段上がったところ
で清水が足で床をガリガリとこすっていました。見るとそこの床は古そうな板
張りで、鏡の破片が大量に散らばっていました。
「お前は入るなよ。ケガするぞ。」
 サンダル履きだった石川は外で待っていることにして、俺と原田が小屋に上
がりました。

 目が慣れてくると中の様子が分かってきました。10畳くらいの狭い小屋で、
壁も床も板張りでした。どうやら、木の小屋を外から石とコンクリートで固め
たみたいです。木はかなり古そうでしたが、穴が開いたり割れたりという箇所
はありませんでした。

「おい、上見て見ろよ。上。」
 清水が懐中電灯で上を照らすと、そこには天井板がなく、大きな梁にボロボ
ロの布が巻き付いているのが見えました。原田が手を伸ばし、垂れていた布を
掴んでちぎり取りました。細長い布に何だかわからない文字が書かれています。
「なんだコレ。読める?」
「あー、これお経とかに書いてある字だよ。」
 清水がそう言ってボロ切れをポケットに入れ、今度は床の方を照らしました。
鏡の破片に懐中電灯の光が当たってキラキラと乱反射しました。

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