学校の怖い話
トライアングル

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怯えている。まじでAが怯えている。
様子が尋常じゃないので、俺はだいじょうぶだいじょうぶ、どうってことねーってとか励ましつつ、一緒に学校を出た。
そのままAには何も説明させず、とにかく公園まで行った。ベンチに座り、Aが落ち着くのを待つ。
ここからは学校は見えない。

音楽室にトライアングルを放り出して来てしまった。

Aはしばらく顔面蒼白で、俺もどうしたらいいのかわかんなかったけど、
犬の散歩のおっさんが一人通り過ぎたのをちらっとAが見たので、これをきっかけに聞いてみた。
「俺、何も気付かなかった。どの絵が動いたの? ベートーベン?」
「・・・ビタワン」 「え?」 「だから、ビタワン」
黒板側の窓際には、何やら書類の入った袋がいくつかあり、
そのうちの一つが何故かペットフードのビタワンの一番大きなサイズのビニール袋だった。
それにプリントされた犬の絵が目を真っ赤にし、Aを凝視していたらしい。

これを聞いて、家に帰ってから疑わしくなった。Aは俺を怖がらして、その様子を笑いにするために演技してんじゃねーかと思った。
次の日学校に行ったら、俺がびびっていた様子を言いふらしてネタにするパターンか? と。

しかし次の日、どうもAは誰にもこの話をしていなかった。同行した俺のほうが女子から昨日どうなったのと訊かれる。
やがてトライアングルを放置したことから侵入がばれた。と言っても俺が一緒だったことはバレず、
職員室にAだけ呼ばれて怒られた。
その際、音楽室で見たことを全てAが話した上で、Aの頼みで先生はビタワンの袋をやめて別の袋にした。

あれはもしかするとマジだったのかも知れない。今俺は、ビタワンのデザインがちょっと怖い。

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