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義父の呪い

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134 110 sage 2012/03/24(土) 17:42:40.19 ID:PTsjFvjL0
そうしているうちにバカ義父の行いは目に余るようになり、何を考えているのか
家政婦さんに酒を買いに行かせた隙に家を出て、タクシーでわざわざ離れた私鉄
の駅まで行って騒ぎを起こしたり。もう一刻の猶予もなくなってきた。
幸い特養のベッドが短期間だけ空いたので、急いでそこへ放り込み。そこから病
院の心療内科に通わせることになった。
実家ネコを俺のところで預かり、さらに入院に必要な物を実家に取りに行った
時なんだが。居間のあちこちに紙切れが挟み込んであるのに気がついた。
テレビ台の下とか、ソファの下とか、あちこちに手帳のページを破り取ったり、
チラシを切ったものがあったんだな。
その全部に「○○(俺の名)は悪い奴」「金を盗まれた」「呪ってやる」と
書き殴ってあって、何のつもりかシャチハタまで押してある。
誰に読んで貰うことを期待して書いたのか知らないが、もはや失笑レベルの
哀れさを覚えた。
同時にこの期に及んで金のことしか頭にない、自分のせいで2度も自殺を試みた
妻に対することが何もないことに怒りを覚えた。もっと怒りを覚えたのが「呪う」
と書いてあったこと。愚か者の分際で簡単に呪いなんて言葉を使うな。
部屋中をひっくり返して一枚残らず紙を探し出し、ベランダで一枚ずつ焼いた。
俺の名前をバカ義父の名に換えて読み上げながら。そして灰を12階のベランダ
から吹き飛ばした。

それから1週間もしないうちに。急にボケが来たのか、義父は感情を失ったよう
におとなしくなったが。口を開けば特養の職員を罵り、当然職員にも他の入所者
にも嫌われていた。そしてようやく透析設備のある山の中の精神病院に入院が決
まった。

148 110 sage 2012/03/24(土) 18:17:47.61 ID:PTsjFvjL0
移動は俺の車。2時間ほどの間に例の呪いの紙のことを話してやった。
「居間のさ、あちこちにメモ残してたよな」
「…ああ?」
「俺があんたの金盗んだとか、呪ってやるだとか…」
「知らん」
「忘れてるかも知れないけど、あれ全部見つけて焼いたから」
「ふーん…」
「知ってるか?呪いって、呪った相手に見つけられたら、かけた本人に降りかかるんだよ」
「……」
病院へ半分ほどの所で、義父は急に具合が悪くなったようだった。入院して
わずか一ヶ月で義父は多臓器不全を起こして死んだ。
嫁を、今は退院して実家にいる義母のところに向かわせ、俺が搬送手続きな
どを行って病院へ向かった。
霊安室は屋外のプレハブで、物置でしかなかった。看護師が「お顔を…」と言った
が「必要ありません」と断った。合掌も黙祷もしなかった。一歩だけ遺体に近づき
「地獄へ逝け」と言ってやった。
怖くない話で長々とスマン。

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