厳選怖い話
カン、カン

この怖い話は約 3 分で読めます。

スーパーの脇にある公衆電話。お金を入れて、震える指で慎重に番号を押していきました。
受話器を持つ手の震えが止まりません。1回、2回、3回・・・・コール音が頭の奥まで響いてきます。
「ガチャ」
誰かが電話を取りました。私は息を呑んだ。耐え難い瞬間。
「もしもし、どなたですか」
その声は母だった。その穏やかな声を聞いて、私は少しほっとしました・・・
「もしもし、お母さん?」
「あら、どうしたの。今日は随分と遅いじゃない。何かあったの?」
私の手は再び震え始めました。手だけじゃない。足もガクガク震え出して、立っているのがやっとだった。
あまりにもおかしいです。いくら冷静さを失っていた私でも、この異常には気付きました。
「なんで・・・お母さ・・・」
「え?なんでって何が・・・ちょっと、大丈夫?本当にどうしたの?」
お母さんが今、こうやって電話に出れるはずはない。私の家には、居間にしか電話がないのです。
さっき居間にいたのはお母さんではなく、あのバケモノだったのに。
なのにどうして、この人は平然と電話に出ているのだろう。
それに、今日は随分と遅いじゃないと、まるで最初から今までずっと家にいたかのような言い方。
私は、電話の向こうで何気なく私と話をしている人物が、得体の知れないもののようにしか思えなかった。
そして、乾ききった口から、何とかしぼって出した声がこれだった。
「あなたは、誰なの?」
「え?誰って・・・」
少しの間を置いて、返事が聞こえた。
「あなたのお母さんよ。ふふふ」

481 :しねしね団:02/08/22 23:47
>>270
ところで、その日は君はアパートに帰ったのかい?

484 :270:02/08/22 23:54
>>481
次の日、姉と一緒に戻りました。
その後の話もあるのですが、やや蛇足気味になるんでやめときます。

以前このスレで『カン、カン』という話を投稿した者です。
あれから8年近くもの月日が経ちました。
またも恐ろしい出来事がありましたので、皆様にお伝えします。
拙い文章であることに加え、前回の話を読んでいない方には少々伝わりにくいかもしれませんが、ご了承下さい。

現在、私の実家のアパートには母と妹が住んでおり、
2つ上の姉は実家からだいぶ離れた場所で就職し、私は隣県の大学に通いつつ一人暮らしをしています。
父は単身赴任で、8年前と変わらず全国を転々としています。

去年の冬、久しぶりに実家から連絡があり、母から「家に戻ってきなさい」と声を掛けられました。
私はとにかく家に帰るのが嫌で、せっかくの休日をあのおぞましい場所で過ごしてたまるものかと思い、
母の誘いを毎年頑なに断っていました。
しかし、今年は滅多に戻ることのない姉と父が帰ってくることもあり、母の怒声にも押され、
卒論を間近に控えつつも、しぶしぶ帰省することにしました。
恐ろしい目にあった家に再び戻ることにも、抵抗は十分にあったんですが、
実はそれよりも怖いことがありました。
母には申し訳ないことなのですが、母と対面するのが何よりも怖かったのです。
かつて母と電話越しで会話をした時、母が明らかにおかしな様子だったのを、今でも覚えています。
母の声なのに、母じゃないモノと会話をしていたあの瞬間。今でも忘れられません。

この怖い話にコメントする

カン、カン