洒落怖
便所のふた

この怖い話は約 3 分で読めます。

次に私を見ました。
全部読みたい人はこちらでね。なんと朗読でも聞けますよ。
  http://www.asahi.co.jp/denno/index.html

8 名前: 「フタ」の続き 投稿日: 2000/09/16(土) 23:35

あれを書いた人間ではありませんが、たまたま記録していたので続きをアップします。
なお、リンクが切れているようですが、それは期間限定公開だったからだと思うよ。

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彼女はわたしが止めるのも聞かず、便器のフタを開きました。その中には、女の人の顔だけが上を向いて入っていました。まるでお面のようなその女の人は目だけを動かすと、立ちすくんでいる友人を見、次にわたしを見ました。わたしと視線が合った途端、女の人はまた口をぱっくりと開き、今度はハッキリと聞こえる甲高い声で笑い始めました。

はははははは…ははははははは…。

 笑い声にあわせて、女の人の顔がゼンマイ仕掛けのように小刻みに震え、はみ出た黒髪がぞぞぞぞっ…っと便器の中に引き込まれました。
顔を引きつらせた友人は、叩きつけるように便器のフタを閉じました。
そしてそのまま片手でフタを押さえ、もう片方の手で水洗のレバーをひねりました。耳障りな笑い声が、水の流れる音と、無理矢理飲み込もうとする吸引音にかき消されました。

 その後は無我夢中だったせいか、よく覚えていません。気が付くと、簡単な着替えと貴重品だけを持って、私と友人は友人の部屋の前にいました。
部屋に入った友人は、まず最初にトイレと浴槽のフタを開き、「絶対に閉じないでね」と言いました。

 翌日の早朝、嫌がる友人に頼み込んでもう一度付き添ってもらい、自分の部屋へ戻りました。しかしそこにはもう何もありませんでした。それでも私はアパートを引き払い、実家に帰ることにしました。

通勤時間は長くなるなどと言っていられません。今でもお風呂に入るときは母か妹が入っているタイミングを見計らって入るようにしています。トイレのフタは、家族に了解をもらって、ずっと外したままにしてあります。

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