洒落怖
怨念憑依

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老婆を目撃した日から一週間が過ぎました。
この一週間というもの、ろくに食事も喉を通らず、気分の優れない毎日を送っていました。
学校では学期末試験が始まっており、私も柄にも無く試験勉強をしなければならなかった為、両親が寝静まった頃を見計らい、応接間にやってきました。
一応、何故わざわざ応接間で勉強しなければならないのかを御説明致します。
元来、勉強嫌いの私は机に向かう事が大嫌いで、自室の勉強机にはコンポを乗せていた為、そこでは勉強が出来ない状態だったのです。

深夜一時頃。
静寂に満ちた部屋にこんな音が聞こえてきたのです。
「ピチャ・・・ピチャ・・・ピチャ・・・」
それは雨漏りの様な水滴の音でした。
音の方向は、応接間の隣に位置するトイレからです。
管が破れて水漏れでもしているのだろうか?
軽い気持でトイレに向かい扉を開くとそこには・・・・・。
私の眼前に薄汚い布キレ。
見上げるとあの老婆の顔が!!
天井から吊りさがった老婆は白目を剥き、口からはどす黒い血を流していました。
音は老婆の口から垂れた血の音だったのです。
私は絶叫しました。
腰が抜けたのでしょう。
その場にヘナヘナと座り込んでしまいました。
二階からは私の声に驚いた両親がおりてきました。
私は這いずりながら両親の元へ。
「どうしたんだ?」
父親の声に私は返事が出来ず振り返りトイレを指差しました。
しかしそこには既に老婆の姿は無く、トイレの扉だけが開いた状態。
私は必死に両親に説明しましたが
「寝不足で夢でも見たんだろう。」
と、軽くあしらわれてしまいました。
応接間に戻り、とりあえず机に向かいました。
しかしどうにも落ち着きません。
そしてこの後、はかどる事の無い勉強をしていた私に第二の恐怖が襲いかかります。

私は背後に人の気配を感じました。
しかし先程の事もあるので後ろを向く気にはなりませんでした。
その時です。
私の首筋に冷たい感触が・・・・・。
前にあった戸棚のガラスに写っているのは、私の首を締めている手。
そう。
私の背後にはまたもやあの老婆がいたのです。
老婆の手を引き剥がそうとしましたが、凄まじい力でまったくはなれません。
私は目を閉じ、無宗教のくせに神頼みです。
御経を唱えました。
「南妙法蓮華経南妙法蓮華経南妙法蓮華経・・・・・・・」
すると老婆の力は緩み、かわりに私の耳元でこう囁きました。
「熱い・・・熱くてかなわん。なんとかせんか!誰の謀(はかりごと)じゃ!
許しはしまいぞ!井上の末代まで祟ってやるからそう覚悟せよ!」
二度ほど同じ言葉を繰り返し、フッと老婆の気配は消えました。
そんな状況で勉強など手につくはずもなく、私は眠る事にしました。
眠りながら考える。
『私はおかしくなってしまったんだろうか?』
真剣に悩みました。
気が狂っているのかもしれないと・・・・・。
そして老婆の言葉。
どんな意味が込められているのでしょう。
老婆の霊に悩まされる日々はまだ続いたのでした・・・・・。

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