洒落怖
コンセント

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それからラジカセが大きかった事もあってか、
僕はまたコンセントの事など存在すら忘れて普通の日々を過ごしていた。
部屋はまた散らかりだし、布団の横には漫画がヤマ積みになっていて、
また彼女が来ないかな、などと思いながら空いたスペースをホウキで掃くぐらい、
ごみ箱はもういっぱいで、僕は集めたゴミをゴミ袋の中に直接捨てた。

642 本当にあった怖い名無し sage 2005/08/11(木) 14:26:23 ID:JCjZUC3D0
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あれから一ヶ月は経った時だったろうか。
ついに、それは僕に降りかかった。

<ガ・・・・・ガガ・・・・ガガ・・・ガガガ・・・>

夜中に突然鳴りだした音に、僕の安眠はぶっつりと閉じられた。
「あ・・・・う・・?」
苦しそうな声を上げて電気をつけると、放置していたラジカセからビリビリと何か奇妙な音が流れていた。
山積みになった漫画の更に裏にあったはずのラジカセが見える、変に思ってよく見ると、積んであったはずの本は崩れて、周りにころがっている。
まさか、ラジカセの音で崩れるはずは、とも思ったが…それしか浮かばない。
<ガガ・・ガガガ・・・>
ラジカセはまだ壊れたように妙な音を発していて、
僕はその電源ボタンに手をかけ──そして気付いた。電源は…すでに切れていた。
オフになっているのに、やはり壊れてしまったのだろうか。
僕はラジカセを持ち上げようと、両手で両端を掴み力を込めた。
ぬちゃ…といやな感触がして、僕はそのまま…目を見開いた。
ラジカセの裏から伸びたコンセント、そこに人間一人分ほどの髪の毛が絡みついていたんだ。
コンセントのコードにつるのように絡まって、ギチギチに。
目で追うと、それはコンセントの穴の片方から…伸びているようだった。
前に触手のようだと思ったことがあったけど、まさしくそうだった。
…しかも、僕はおどろいてラジカセを力いっぱい引いてしまったんだ。

ぶ ち ぶ ち ぷ ち ぶ ち

ラジカセに絡まっていた何十万本もの髪の毛が頭皮から引きぬかれる感触がした。
同時に、コンセントの向こうから絶えられないとほど絶叫が響いたよ。
コンセントの穴から髪の毛が一斉に抜け落ちて、ドロリとした真っ赤な血が、穴から噴出した時……僕は悲鳴を上げ、気を失った。

血塗れの部屋。髪が散乱する部屋。僕は部屋を綺麗に掃除すると、荷物をまとめて部屋を出た。
あのコンセントからは、また髪の毛が一本触手のように垂れていた。

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