この怖い話は約 3 分で読めます。
『そして、人が近づかないように、扉の前に鎧を座らせてあるんだよ。』
え!?……鎧!?
しかし、報われない小作人たちの無念は、拷問をやめた程度では消えなかった。
本家の人間たちを許しはしなかった。
本家が気づかないうちに、本家に祟っているようなのです……。
(続く)
407 親戚の怖い話5 ◆WatDT1.QjM sage New! 2006/11/14(火) 16:13:44 ID:mOpTXwRv0
親が続けて語ったのは、耳を疑うような本家の系譜でした。
そのとき生まれた従兄弟の子(=私の甥)は、男の子で嫡男。
その子が五体満足で生まれなかった。
詳しくはわかりませんが、内蔵に問題があるようです。
その父親(=私の従兄弟)も、本家の嫡男。
この人も冒頭で書いたとおり、先天的に骨が足りません。
外科的に人工の骨を埋め込んで、不自由ながらがんばっている。
その先代は、子供が生まれなかったので、分家からの養子(=父の兄)だった。
そうなんです、もっと早く、この不自然さに気づいてもよかったんです。
なぜ【分家】だけでなく【本家】の跡取りが、私と【従兄弟】の関係なのか……。
その前の代も、その前の代も、おかしなことがあったそうです。
生まれても生まれても死産だった代もあった。
生まれてきた子の精神面に問題があり、なかったこと(!)にした代も。
その度に、遠くの町から婿養子を金で買ったり、分家の子を養子にしたり。
その前の代も、その前の代も……。
そうなんです。
代々、跡取り(嫡子)がまともに生まれないんです。
『……マジで……?』
私は思わず……自分の家にある仏壇に目がいってしまいました。
私も戸籍上は長男(ひとりっこ)だけれど、早産で死んだ兄がいる……。
『本家が気づいているのかどうかしらないけどね。』
『分家はみんな気づいてるけど、とばっちりがイヤだからなにも言わないんだ。』
『だから、おまえが一人暮らしを始めたとき、親戚から遠ざけたんだよ。』
……そうだったのか、そんなことがあったのか。
(続く)
409 親戚の怖い話6(完結) ◆WatDT1.QjM sage New! 2006/11/14(火) 16:14:59 ID:mOpTXwRv0
あれから10年以上、私は他の親戚ともほとんど関わりを持っていません。
親の話では、本家は相変わらずだそうです。
まだ気づいていないのか、それとも気づいてどうしようもないのか。
もしかしたらこの話は、親戚一同の壮大な思い違いかもしれません。
この話が思い過ごしかどうかは、しばらくすればわかると思います。
いまはまだ子供の本家の跡取りが、将来健康な子を産んでくれればいいのです。
しかし、もしも次の代も、なにかあったら……。
親戚一同、ますます【祟り】を信じて疑わなくなるでしょう。
そして、一族みんながバラバラになっていくのだろうと思います。