足の傷

869 足の傷 1/4 sage New! 2006/12/06(水) 19:49:50 ID:WQ71fnTs0
東京、青山墓地。
そこに我が家の墓がある。
中学一年生、盆。
足の傷が目立つ俺はジーパンを穿いて向かった。

初めて行った墓地は以外と広かった。
つく前に花を一束買っていった。
父と二人で向かった墓地は有名らしい。
着いたとき、幾つもの墓を目の当たりにして
少し戸惑った。

不思議と足が痒い。
幾つもの墓を通り抜けて数十分、ようやく
我が家の墓を見た。
粗末で、ボロボロだった。
小さくて、期待を裏切られた感じだった。
だが、やはり他の墓とは違った。
鎖を墓の前にかけてある。
それを見たとき、俺は夏のあの出来事を思い出し
身震いをした。
暫く俺は立ち尽くしていると、父が俺に
水を持ってきてくれといった。

870 足の傷 2/4 sage New! 2006/12/06(水) 19:50:48 ID:WQ71fnTs0
歩き回ってみたが分らない俺はついでに
色々な墓を見て回った。
立派な墓、かなり放置されていて草が生い茂っている
墓、洋式の墓。
墓地っていうのはこんなに大量の墓があると
改めて思い知らされた。
父の元へ戻り、水の場所が分らないというと
父が代わりに取りに行ってくれた。
墓の前に俺独りになり、もう一度まじまじと見た。
鎖が解かれていた。
きっと父が外したのだろう。
俺は墓に近寄ると今にも崩れそうな墓を触った。
我が家の苗字が彫ってある。
と、どうじに先祖の名前がたくさん彫られている。
我が家は代々死んだらその墓に埋められるらしい。
俺も父も死んだらこの中に入るのか、と俺は
整理されている墓の周りを見ながら思った。

871 足の傷 3/4 sage New! 2006/12/06(水) 19:52:00 ID:WQ71fnTs0
父と墓を掃除し終え、線香代わりだと言って
父は煙草に火をつけて置いた。
父の愛用のJPSだ。
一仕事終えて父は道具を置くと俺をみて爺ちゃん
にそっくりだと言った。
そんなに老けてる?と言うと、雰囲気がだ、と
言う。そして、足の傷の出来方も。
俺の足の傷は切り傷のような物ではない。
円形の傷で、その小さい傷が幾つもある。
しかも、それは足の裏だけにしか出来ない。
そんな事を話して、ふと足の裏を見たとき。
一つ、新たな傷が出来ようとしていた。
変な感覚だった。
何も無いところに急に少し血が出てきて
その周りを黒い物が覆う。
初めて見る光景に俺と父はそれを見ていた。
そうして自然に血が止まると、また新たな
瘡蓋ができた。

872 足の傷 4/4 sage New! 2006/12/06(水) 19:52:49 ID:WQ71fnTs0
綺麗になった墓をまじまじと見終えて、父は
鎖を掛けなおした。
鎖を掛けられた墓は見ると禍々しさを憶える。
俺は鎖が何故あるのか父に聞いた。
あれがもしも無かったら今頃お前の首は
飛んでる。
そう言って父は歩いていった。
俺は最後に墓を振り返ると、禍々しさよりも
どこか寂しげに見えた。

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