洒落怖
因縁

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869 本当にあった怖い名無し sage New! 2006/12/16(土) 02:28:36 ID:OU4aFcHx0
父はいいました。
なんでも父は昼夜関係なく夢ではないビジョンをみるんだそうです。
その中で父は私に良く似た母に虐待されているとのことです。
赤ん坊の頃から続くそのヴィジョンは我にかえるとどんなものかもおぼえていないのですが。
とりあえず私に想像を絶する虐待を受けた、これだけは痛感しているそうです。
金のあてのなくなった父は仕事をするようになったのですがこのヴィジョンのおかげですぐクビになり転々とし。
最低限の食事はできていても今は家もなく、主に派遣の仕事をしているというのです。
なんと、気味の良い事でしょう。それを聞くだに私は心のなかに満ち溢れるものを感じずにはいられませんでした。
だって、あの醜い父が、話を進めてゆくあいだに悔恨だか何か知りませんけど、目に涙まで浮かべるんですよ?
浅はかで愚かで、無様で…嗚呼、これはこんなにもかわいらしいと。
こんな商売をしておりますと、私、色々もってるんです。
それで、壁にかけておいた商売道具の一つ、首輪を投げ渡していって差し上げました。
「ワンっておなきなさい」
父は目を剥きましたけど、私の顔をみるとがたがたと震えだすんです。
「おなきなさい」
催促すると、小さく。ワンって聞こえました。
嗚呼、なんて素敵な響き。喉の奥までこみあげていつ噴出するともしれなかった罵詈雑言が全て法悦の響きとなって私の喉からこぼれだしそう。
「許して差し上げる、ただし。償いをなさい。 いいわね?」
父は黙って頷きました。

870 本当にあった怖い名無し sage New! 2006/12/16(土) 02:29:50 ID:OU4aFcHx0
多分、この関係が一番私達にしっくりきていたんです。
思い出しました。前世では私がこの子におっぱいをあげて育てたんですよ。
事あるごとに叱り飛ばし、帯でつるして、縄目の痕は絶え間なくなく。
そう、つまりこの子何を勘違いしたか存知ませんけれど、あろうことかこの私に復讐していたとうこと。
思い上がりもはなはだしいと思いません?
前世も今も、この子は私がいるからこの子。その主上にあだなそうだなんて。

でもね、ちょっと困るんですよ。
今度はほら、この子が先に生まれちゃったでしょう?
だからこの子ったら醜く老いさらばえていくんですもの、よりによって私の許可なく私より先に。
挙句私のもとに帰ってきたときには体の調子崩してるだなんて失礼にも程があるというものよ。しょーじき、飽きちゃいました。
勝手を押し通した上でもろもろの費用のかかる男なんて浮浪者にでもなればいいと思いません?

代わりに貴方を迎えにいくわ。
まあ、最初に出会うのは貴方から私を欲してでしょうけど。

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