洒落怖
幸福の壺

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どれだけ歩いたでしょうか、深い深い穴の先 出口が見える気配もありません。 懐中電灯の電池も気になります。
こんなことなら入り口のところでさっさと寝てしまえばよかった。 彼は後悔します、ここで夜を明かしても目覚めは闇の中でしょう、結局進むか戻るかしかありません。
万一行き止まりだったら・・・そう思うとやはり後戻りかな、そう考えた矢先 雨音が聞こえます。 もしかして出口か? 
さらに先に進むと出口が見えました、かなりの距離を歩いた気がする・・・それは山の裏まで突き抜けているトンネルだったようです
とりあえず出口が見つかったので、そこで彼は横になりました。

767 その3 sage 2008/10/10(金) 23:49:39 ID:ruuNp7md0
まぶしい光に彼は目を細めながら起き上がりました、昨夜の遭難に雨 そしてトンネルの事をぼんやり思い出しながら外に出ました。
木々の隙間から漏れる光、快晴です。 よかった、とりあえず麓まで降りよう。 そして少し先に開けた場所があるのを発見し進みました。
森から抜け出し草原に出た彼は、その時の感覚を「あの時背中に走った悪寒はヤバかった。 脊髄が氷柱に変わったかと思った・・・」そう語りました。
彼が見たのは墓 墓 墓 墓墓 墓墓墓墓墓 草原のあちこちに倒れ積み重なり そして草からのぞく墓墓 墓石の大集団
ほとんどの文字は苔に覆われ 欠けていましたが、それは確かに墓だったといいます。 しかもその数は尋常じゃなかったそうです。
草原かと思ったのは墓の隙間から生えた草でその一面・・・そう、彼が立っている地面そのものが墓石の山だったそうです。
これほどの死者・・・疫病か?村同士の抗争か? この山にも昔、村が点々とあったことはだけは知っているが・・・しかし、考えずらい
あまりにも多い、村1つ全員・・・どころじゃ・・・ない、この山1つ・・・いや、この地方一帯の人間が死ななければ、これほどの数にならないんじゃないか・・・?
恐る恐る墓石の文字を覗き込む、時代はどれも大体同じ時代のものが書かれていた。 ちょうど日本で言えば幕末~明治初期に集中しているらしかった。
そしてもう1つ、欠けた墓石の文字をたどっていくと・・・彼は気づいてしまった

女性と・・・子供しかいない・・・

名前はほとんどが女性の名前、男性の名前もあったが刻まれた年齢はどれも幼く・・・ソレを物語っていた。
これだけの女と子供が? この時代は確かに村と村 地域と地域 国と国の争いがあちこちであり、疫病も度々あった時代だ
しかしそれなら成人男性の名前も刻まれるんじゃないのか? 男たちが出稼ぎや徴兵で出て行った後、残された女や子供が疫病で亡くなったのだろうか?
恐怖は徐々に好奇心に変わっていった。 ここで・・・ここいらの地域で何が起こったのか・・・彼は調べることにした

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