洒落怖
赤いヒト

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日に日に彼の状態は酷くなっていった。
授業中や休み時間、ハッとあたりを見回したり、小さく悲鳴をあげることが多くなった。
「いま、赤いヒトが校庭にいた」「赤いヒトが隙間から覗いている」
後で話を聞くと、必ずそんな答えが返ってきた。
見えないものは信じにくい。あるいは子どもの飽きやすさか。
こんなS君を最初は心配していた俺らも、何日か続くうち、彼の言動にうんざりしてきた。
そうして少しずつ周囲と距離が出来始めたある日、S君がまた悲鳴をあげた。
「おまえ、赤いヒトと重なってる!」クラスの女子のひとりを指差し、そう叫んだのだ。
授業中に暴れて逃げ出すS君。先生は怒り出し、女子は泣き出し、阿鼻叫喚だった。
…俺とT君は、この日を境に彼から距離を置こうと決めた。

364 3/3 2008/08/28(木) 16:17:14 ID:LxxMb4Y+0
その数日後、指差された女子が交通事故に逢った。全治一ヶ月。
S君はその報を聞くと貧血を起こし、学校を早退した。
そして一週間、学校に来なかった。
(親同士の噂で後から聞いた話、神経衰弱で入院していたらしい)

オチが尻切れトンボみたいで申し訳ないが、
その後戻ってきたS君と俺たちはほとんど話をしなかった。
彼は元の明るさを取り戻しており、「赤いヒト」の話はタブーに思えたから。
後に先生に聞いた話で「学校が元は火葬場だった」といった話もあるが、
直接の関係はわからない。

ただ、T君から一度だけ、その話をS君に振ったと聞いた。
「赤いヒトって、まだ視えるの?」
S君は曖昧に笑って、答えたと言う。

「うん、いる。でもアレはもう招かないし、飲み込んだから」

最後まで、訳の解からないことだらけだった。

なんか長くなったな、ごめんなさい。

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