洒落怖
足音

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よくよく聞いてみれば、千葉さんが眠っている間に空き巣が入ったのだった。
このアパートは昼間働いている人が多く、鍵もボロい為に入り放題だったらしい。
千葉さんは本来ない筈の部屋、しかも机の下の陰の部分で眠っていた為、
犯人とはち合わせせずに済んだのではないかと言う話だった。
もし足音が聞こえた時に、その正体を確かめに行っていたら…。
考えるだに恐ろしい。
これですっかりボロ屋に懲りた千葉さんは、
忙しさにかまけて中断していた新居探しを再開したと言う訳だ。
今では立派なマンションの一室におさまっている。

結局千葉さんが聞いたのは生きた人間の足音だったのだけれど、
ならば坂元さん、小津さん、俺がそれぞれ見聞きしたものは何だったんだろう?
2人がそれに遭遇したのは一度や二度ではないし、俺はそれを知らなかった。
千葉さんが引っ越した後もそのボロアパートはあるみたいだけど、
もしそんな場所に住む事になったら、あなたは足音の正体を確かめますか?

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