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最後に村長は、
「杭さえ、引き抜かなければ何も恐れることは無い。」と締めくくり、冷静に対処する事を村人たちに求め、
解散となった。
村人達が去った後、曾爺さんは自分がその体験をしたこともあってか、村長のところに行って、
その何かについて、なおも食い下がって問い質すと
「幽霊や物の怪や人の祀る神様と人との間には、曖昧ながらもお約束というべきものがある。
相手の領域に無闇に立ち入らないことだったり、定期的に祈りを捧げたりとな。
彼らはそれを破ったものには祟りをなすが、約束事を守る限りは問題は無い。
しかし、今回の事態を引き起こしている何かに、それは当てはまらない。
聞いた話では その何かは、自らがが在るがままに、ただそこに在ると言うだけで、
人を正常でいられなくし、発狂させるほどの影響与えるのだそうだ。
わしもそこまでしか聞かされていない。呪ってやるだとか祟ってやるだとかそういう意図も持たないにも
かかわらず、存在そのものが人を狂わせる。そういうものに対しては、人は必要以上に知らない方が
いいのかも知れん。」と言い残し、村長は去って行ったそうだ。(4/5)
424 本当にあった怖い名無し sage New! 2009/08/01(土) 19:01:32 ID:aXftNoGi0
それから暫くして、曾爺さんの住む村で神社の建立が始まった。
怪異による犠牲者は、近隣の村々を含めて出続けていたが、その数は収束に向かっていき、神社が完成した頃に
は全く起きなくなったという。
今にして思えば、木の杭は、何かを封じた霊的な呪い(まじない)の類で、それを引き抜いてしまったことで、
何かの力の一部が解放され、それに触れた人間が狂ってしまうということだったのかも知れん。
神社が立てられたことで、その何かは再び強固に封印され、怪異が起きなくなったということなのだろうと
曾爺さんは、爺さんに話してくれたそうだ。
そんな経緯で、ウチで使う木の杭には、ウチのものである事を示す目印を今でも彫り込んでいるんだそうだ。
近所ではそんなのを見たことがないことを指摘してみたら、
「人ってのは喉もと過ぎるとなんとやらで、今ではあんまりやってる家を見かけないが、
この近所だと、どこそこのSさんとことか、Mさんとこは今でもやってるから見てくると良いぞ。」
と爺さん言われた。
見てきてみると、確かにSさんちとMさんちで使ってる木の杭には漢字一文字の彫りこみがあった。
「今でもやってる家ってのは、だいたいが犠牲者を出した家か、その親族の家だろうな」とは爺さんの談
(5/5)