洒落怖
貸別荘

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俺以外も全員その「人の塊」を見たため、あまりの恐怖に何も言えず、俺達はリビングの
端の方に一塊になりガタガタと震えながら「どうなってんだよ…」「なんだよこれ…」などと
不安を口にしていた。

暫らくすると太鼓の音のようなドンという音が聞こえなくなった。
「それ」がいなくなったのかどうか解らない俺達は、そのままリビングの端でじっとしていると、
今度は玄関の方から

ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!

と激しくドアを叩く音が聞こえてきた。

178 6 sage 2009/06/06(土) 11:38:42 ID:Psvxll6A0
俺は恐怖と不安でパニック状態で耳を塞ぎ、他のやつも皆耳を塞ぎ必死で今の事態に耐えて
いたのだが、暫らくすると今度は建物中のあちこちから

ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!

と窓言わず壁と言わず、あちこちを大勢の人が滅茶苦茶に叩く音が聞こえてきた。
耐えられなくなった友達が、「電話しよう、管理事務所直通の電話あっただろ、あれで
助けを呼ぼう」と言った。
俺達はハッとその事に気付き、急いで玄関側にある電話に急いだ。

俺が電話を取り、「直通」と書かれたボタンを押すと、2、3コールの後別荘まで案内して
くれたおじさんが電話に出た。
おじさんに必死で事情を話すと、おじさんが独り言のように「…まさか、まだ出るなんて…」と
呟いた後、「説明は後回しで、リビングに神棚があるね?そこにお札とセロテープが入って
いるから、そのお札をドアに貼って待っていなさい」と言った。

俺達は意味が解らなかったが、他に解決策も無く、とにかくリビングへ戻り神棚を
探す事にした。
神棚は部屋の端の方の天井近くにあった。
椅子を使って中を覗き込むと、たしかにお札とセロテープが入っている。
俺達は急いでそれを出すと、玄関とリビングの入り口のドアと窓にお札を貼った。
窓にお札を貼る時、なるべく外を見ないようにしていたのが、一瞬だけ外を見てしまった。
すると、青白い腕が数本、窓をガンガン叩くのが見え、更に腕の向こうに、どう考えても
腕の位置とは不自然な形で人の顔が見えた。
その顔はやはり他と同じように焦点が合っていない目でだらんと口をあけていた。
俺は外で「それ」がどんな状態になっているのか、恐ろしくて考える事も出来なかった。
何時間くらい経ってからだろうか、外が明るくなり始めた頃、壁やドアや窓を叩く音
は聞こえなくなった。

179 7 sage 2009/06/06(土) 11:39:30 ID:Psvxll6A0
それでもまだ「それ」がいつかもしれないとおもうと動けず、そのままじっとしていると、
遠くから車がこっちへ向かってくる音がし始めた。
車が庭に止まると、数人の足音が聞こえてきて、ドアのチャイムを押す音と、「おーい、
大丈夫か?」と声が聞こえてきた。

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