洒落怖
羽虫

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一刻も早くその場から離れようと夢中だったから細かいことは何一つ覚えていない。
気がついたら隣県のセルフのガソリンスタンドにいた。
後はもう、どこにも寄り道せず国道をひたすら下って自分の家に帰った。
自分ちの駐車場でトランクを開けると、小さな羽虫の死骸が散らばって入っていた。
洗車用のバケツにはこげ茶色の汚い水がたっぷり入ってて、生きた羽虫が何匹かたかっていた。
水のある場所なんて一度も行ってないし、そもそも旅に出てからトランクを一度たりとも開けていない。

292 本当にあった怖い名無し sage New! 2009/05/02(土) 22:45:01 ID:wE5xjSyG0
その日からしばらく悲惨な日々が続いた。
大学の学食に行くとスープがあのバケツの茶色い水に見えて飲めなかったり、
講義で隣に座った友達の肌に小さな羽虫がびっしりついていたこともあった。
卒業研究を一時中断して精神科に通い、薬を飲んでなんとか落ち着いて、虫が見えたり
茶色い水が見えたりすることはなくなった。でも、あの小屋にいた真っ黒いヤツのことは忘れられない。
アイツは一体何だったのか?

関係あるか否かは分からないけど、この一人旅をする1ヶ月ほど前に、東北地方の中では相当危険とされる
心霊スポットに足を運んでいたのを思い出した。そこに行った時は何ともなかったのに…。
小さな道や細い道にはもう二度と入らないと誓った。
肝試しに行く際にはくれぐれもご用心を。

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