洒落怖

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酒や菓子や料理が出て、子供達は遊んで、大人は話をして、
日が暮れかけた頃にそこんちの父親が一同を集めたそうです。
で、お開きの前にすることがあるから、お姫さま?だか巫女さん?だかの役を
やってくれる子供を募る、と言うようなことを言ったらしい。
衣装も道具もあるので、ぜひ新しく越してきた(ヨソ者)の子の誰かに頼みたい。
これから仲良くしたいから、と。
綺麗なヒラヒラした白い服を見て、Bは「ハイハイ!」と真っ先に手を上げ、
「じゃあ君に」となったそうです。
そこの人に白い服を着せてもらい、お化粧してもらって白い布を被り、
おみこしみたいなものの上に載せてもらって大はしゃぎした記憶があると。
B母も「あら~!可愛いわよ、B」と喜んで写真を撮ったりしていたとか。

そこんちの父親、つまり当主の説明では、おみこしに乗って近所の社へ行き、
担いできた人たちがおみこしを置いて一度離れる。
そしたらお姫様はおみこしを降りて神社の中に入って
お供え物とお酒を置いてくればいい、社の中にいれば迎えに行く、と。
おみこしにBを乗せて何人かの男性が担ぎ、一行は山道を登っていったそうです。

689 前々スレ128 sage New! 2009/04/21(火) 00:11:08 ID:fITPiIyk0
「はしゃぎ過ぎたもんだからさ、行く途中で静かになったら凄い眠くなってね。
 うとうとして、気づいたらもう誰もいなかったから、慌てて神社の中に
 入ったんだけど、もう本気でメチャメチャ眠かったもんだから、
 とにかく適当にお供え物とお酒置いて、そこでダウンしちゃった。
 後でお母さんに聞いたら、おみこし担いでた人が迎えに来たら熟睡してて、
回収して負ぶって戻ってくれたんだって。
『迷惑かけて!!!』ってお母さん怒ってた。
 おまけに、家に帰ってから今度は体調崩して寝込んじゃってさー。
 3日くらい熱が引かなくて、『騒ぎまくった上にあんな所で寝るからよ!』って
 お母さんに叱られまくったよ」

Bが寝込んでる間、祭りの夜にいた地元の大人たちが、頻繁に見舞いに来ていたそうです。
特にその旧家の同級生母はちょいちょい来てくれ、身体の調子はどうか、
変な夢を見て魘されたりしないか、と色々とBに尋ねたそうです。
「お見舞いにって、お姫様の衣装、もって来てくれたの。
私が気に入ったみたいだから、部屋に飾っておいたらいいよって。他にも、
そこの神社のお守りとか、お祭りのときのお供え物とかくれてさ。迷惑かけたのに
怒ってなくて、優しかったんだよ、そのおばさん。だけどね」

Bがようやく熱が下がり、回復して学校へ行ってみると。
その、招いてくれた旧家の子が、B回復の前日に、亡くなっていたそうです。
B母とBが連れ立って葬儀に行ったら、Bたちを見た同級生母が
凄まじい勢いで喚き始めたと。
『何であんたが生きてるんだ』『どうしてうちの子が連れてかれるんだ』
『××に行くのはあんたのはずだ、印はどうした』
などなど正気でない調子で喚かれ、B母が例の白い衣装を返そうとすると
同級生母はさらに激昂して、うそだ、こんなのはうそだと喚きまくり、
BとB母は焼香できずに帰ったそうです。
「あの時は怖くて泣いちゃったけど、後でお母さんが言ってたんだよね。
 『自分の子供が自分より先に死んだりしたら、誰だって悲しくておかしくなるのよ。
  Bに何かあったらお母さんだってそうなっちゃうよ。
Bが悪いんじゃないから気にしないでね』って。今は本当にそうだろうなって思う」

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